研究課題/領域番号 |
23650108
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
岡嶋 克典 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (60377108)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 認知科学 / 感性情報学 / マルチモーダルインターフェース / バーチャルリアリティ / 情報工学 / 音声処理 / 食品 / 骨伝導音 |
研究概要 |
各被験者の咀嚼音の骨伝導伝達関数を考慮した逆位相の咀嚼骨導音キャンセリング信号をリアルタイムに生成するシステムを構築し、人工咀嚼音呈示システムを組み合わせることで、置換した任意の人工咀嚼音を咀嚼タイミングに合わせて呈示し、人工咀嚼音の有無およびその種類によって食感や味覚がどのように変化するかを測定し、食感・味覚と聴覚の相互作用メカニズムを解明するために、各被験者の咀嚼音の骨伝導伝達関数に依存する骨伝導をキャンセルする骨伝導音と逆位相の音信号をリアルタイムに生成するシステムを試作し、それを骨伝導ヘッドホンまたはノイズキャンセリングヘッドホンで呈示することで、実際の咀嚼音を完全にキャンセルすることを試みた。具体的には、被験者の顔の適当な位置に骨伝導マイクとヘッドホンをセットし、食物を咀嚼してもらいながらマイクからの咀嚼音信号を複数のイコライザやディレイ機能等が内蔵されたデジタルマルチプロセッサに通し、それに接続したPCでその伝達特性(パワースペクトルのゲイン制御に相当するイコライジングや位相制御に相当するディレイ)を適応的に変化させながら骨伝導音が最も小さくなる設定条件を探索した。その結果、デジタル処置では位相ずれによるキャンセレーションが困難であることが分かった。そこで、骨伝導音に加えて空気咀嚼音を人工的に加え、総合的な咀嚼音を変化させた際の食感について実験的に検討したところ、咀嚼音の置換によって食感が変化すること、またその変化は食品と人工咀嚼音の組み合わせに依存することが示された。さらに、視覚情報の影響についても検討した結果、視覚テクスチャが食感に影響を与えることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度中に骨伝導音のキャンセリングを実現する予定であったが、デジタル処理では困難であることが判明したため、骨伝導音に空気咀嚼音を人工的に加えて総合的な咀嚼音置換を用いた実験を行なった。現在、アナログ回路の導入を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
まずは骨伝導音キャンセリングの実現を推進するとともに、空気咀嚼音の効果について検討していく。咀嚼音キャンセリングシステムに人工咀嚼音呈示システムを組み込み、任意に咀嚼時の聴覚情報を制御することで、咀嚼音が食感や味覚にどのような影響を与えるかを定量的に被験者実験によって測定し、分析を行う。結果的に骨伝導音キャンセリングが技術的に困難な場合でも、空気音ノイズによるマスキング法や、音の出ない疑似食品を開発することで、本来の目的を達成できる見込みである。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は主に、骨伝導音キャンセリングのためのアナログ回路作成代と音響測定機器費用および食品刺激に使用する。旅費は学会・研究会で発表と研究協力者との打合せに使用する。人件費・謝金は被験者謝金に使用する。その他として、学会参加費や論文投稿費として使用する。
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