研究課題/領域番号 |
23650111
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
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研究分担者 |
花田 里欧子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (10418585)
古山 宣洋 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (20333544)
井上 雅史 山形大学, 理工学研究科, 助教 (50390597)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 臨床心理面接 / 対話情報処理 / パラ言語情報 / 身体動作 / 感情推移観測システム / 認知心理学 / 音声音響工学 |
研究概要 |
カウンセリング(臨床心理面接)の対話場面における、パラ言語情報(口振り)と身体動作(身振り)の役割に関して解明するため以下の項目の研究を推進した。1. 臨床心理データ収集・分析: ★過去に京都教育大で【カウンセリング学習会】において収集したデータに対し、発話内容、臨床心理的に見た対話場面の状態のアノテーション情報を付与した。★加速度データから頷きの度合いや同期情報、音声データから基本周波数の最大・最小・変動等の情報を抽出し付与した。これらはデータベースの基礎となる。また、臨床心理士の指導者と初心者における、頷きの傾向の類似性と相違部分について分析し、国際会議でも発表をした。2. 計測系および評価系の高度化: ★ 計測系を使いやすくし、かつ十分な情報が取れるように改良した。このため加速度のディジタル収録系の開発、Kinectデータ処理や、多様なデータの同期を取るためのタイミング情報の付加手法の開発を行った。これらにより、口元マイク2本、加速度センサ2台、ビデオ3台 (全体と各個人の正面)、Kinectセンサ2台で収録することができるようになった。このシステムの一部を臨床現場においても使えるようにセットアップを行った。★認知心理学的な2者対話タスク「アニメーション説明課題」を題材として、収録がスムーズに行えるか実践的に試した。★ 対話における感情状態を連続的に推定するため、感情推移観測システム EMO system (EMOtional Movement Observation system)を開発した。対話参加者および第3者によって、各々の話者の感情状態の評定(6軸の評定項目:「快-不快」、「覚醒-睡眠」、「支配-服従」、「信頼-不信」、「感心-無関心」、「肯定的-否定的」)を行った。この結果をもとに、評価者間の評価度合いの類似性や差異についても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1. の臨床心理データ収集・分析は、当初計画どおり順調に進展した。2.の 計測系および評価系の高度化においても、当初計画分は達成した。さらに、他の研究課題でも利用可能な実践的な課題を設定し、EMOシステムを開発した上で評価者間の評価度合いの類似性や差異についても検討を行うことができたことは、当初計画以上の進展である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、臨床心理面接においても今回開発したシステムを用いてデータ収録を行う。また、臨床的な対話進行状況や感情等の状態遷移をEMOによって評価する。システムのさらなる改善を続けるとともに、アノテーションデータや感性情報との間の関係を分析することを進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、データ収集実験の進行状況を見ながら機材の購入や整備を逐次行った。しかし、必要となる機材購入には中途半端な金額が年度末に残った。次年度にこの分を合算し、有効使用する。研究打ち合わせと成果発表(国際会議)のための旅費に重点をおいて使用する計画である。また、計測システム改善のための部品等の消耗品代と、データ整備のための謝金を使用予定である。
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