研究課題/領域番号 |
23650112
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
吉澤 達也 金沢工業大学, バイオ・化学部, 教授 (90267724)
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研究分担者 |
小島 治幸 金沢大学, 人間科学系, 教授 (40334742)
内川 惠二 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00158776)
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キーワード | 色記憶 / 心的演算 / カテゴリ化 / 感覚モダリティ / 符号化・復号化 |
研究概要 |
本年度は,「記憶情報に基づいた心的演算による復号化過程の様子」について明らかにするため,心理物理学実験と脳機能画像解析を行った.一般に,感覚知覚に関する皮質上の責任部位の活動を脳機能画像解析する研究では,特定の部位における空間分解能や時間分解能について考慮する必要がある.しかし,被験者に記憶情報を用いて心的演算を行わせた時の大脳皮質の活動は,特定の部位に集中せず,分散的に生じる可能性があったため,まず,定性的な特性を捉えるために,本研究課題では脳機能画像はNIRS(近赤外線分光法)を用いて作成した. カラーネーミング(観察している色を色名を用いてカテゴリ化する作業)を行っている際の,皮質活動を頭頂葉から後頭葉にかけてNIRSを用いて計測した結果,色覚刺激の時空間条件を変化させても,皮質活動には違いが見られず,心的操作が視覚野において行われていることが判った.また,この時,心理物理学実験の結果は,同様の実験を行った先行研究の結果と同様,色覚正常者は色覚刺激の時空間条件を変化させても色の見えのカテゴリ化はほとんど変化しないことも明らかとなった. 本研究課題では色という感覚が記憶情報を基に心的に操作され,色の見えの知覚として得られる過程についてNIRSを用いた脳機能画像解析と心理学実験で解明する試みを行った.その結果,心的操作が行われた際に視覚野が大きく寄与していることが明らかとなった.今後,心的操作内容の違いによる機序の解明が必要である.
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