研究課題/領域番号 |
23650117
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
前田 義信 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90303114)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | いじめ / 頻度依存行動 / エージェント / 対立回避行動 |
研究概要 |
いじめ問題を解決するために,まず,人工学級モデルを構築した.人工学級モデルでは,構成員である各エージェントが複数の価値を見出し,他エージェントと価値の交換を繰り返すことで友人を形成する.その際,エージェントが見出せる最大価値数に依存して,価値をひとつも見出せないエージェント(いじめ被害者)が出現する様子を明らかにした.さらに,エージェントのひとりをプレイヤーとし,プレイヤー参加型人工学級ゲームを作成した.臨場感を出すために,エージェントや価値に画像を割り振り,音楽を流し,場合によっては動画を用いた.プレイヤー参加型人工学級ゲームを評価するため,プレイヤーとして大学生10名による実験を行った.その後,5因子性格検査とアンケートを実施した.その結果,5因子性格検査の中の「協調性」と人工学級ゲームでの「共感性行動回数」に関して相関が見られ,相関係数が有意水準1%で有意であることが示された.今回の実験ではその他の4因子に関して相関は見られなかった.また,アンケートでは「相手がエージェントとは分かっていたが,排除行動や卓越行動等,負の行動を受けると感情的になってしまった」との意見を複数得た.よって,作成した人工学級ゲームは臨場感を持つゲームと解釈でき,性格検査との相関から,共感性のような正の行動に対してはヒトの行動傾向を推定できることが分かった.次年度は自閉症スペクトラム指数と比較することで,いじめを回避するための方策を人工学級ゲームに追加することを実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度でプレイヤー参加型人工学級ゲームの基盤が完成した.次年度ではその評価を行うので,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下の2点である. 1)人工学級のエージェントを,個人主義型と群集型の2種に分類し,そこでのプレイヤーの行動を自閉症スペクトラム指数と比較することで,人工学級ゲームの自閉症診断ゲームとしての可能性を検討する. 2)2人以上のプレイヤーが参加できる形態に人工学級ゲームを拡張し,被験者とともに実験者が人工学級ゲームに参加して,学級の動向を制御できるようにする.被験者はどのエージェントがプレイヤー(実験者)であるか分からないようにし,被験者がいじめを回避できるプログラムの作成を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
複数プレイヤーが人工学級に参加するため,複数の端末を購入し,用意する.また,成果は国際会議で発表するため,外国旅費としての使用を計画する.
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