研究課題/領域番号 |
23650118
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
森江 隆 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 教授 (20294530)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 電子デバイス・機器 / スパイク駆動 / 位相振動子 / 集積回路 / 脳型情報処理 |
研究概要 |
スパイクパルス結合型位相振動子モデルを0.25ミクロンCMOS技術により回路実装し,2振動子の結合系を実現して,試作チップの測定により,回路パラメータと結合振動子動作の関係を解析した.振動子は充電用キャパシタとその端子電位をモニタする比較器,しきい値に達すると電圧をリセットする放電回路から構成した.比較するしきい値は,パルスを出力するタイミングを決めるものと,電圧をリセットするためのものと2種類用意し,両者のレベルを変えて安定動作を図った.結合関数は,同相同期および逆相同期をそれぞれ実現する±sin関数を,論理ゲート回路で容易に実現できる近似3値関数で構成した.このとき,0値を実現する区間を設定することにより,同相・逆相同期を安定的に実現できることを見いだした.さらに,特定の位相差で安定する異相同期状態も実現できることを見いだした.ある振動子がスパイクパルスを出力する時は,その振動子の状態が0であるタイミングなので,そのスパイクパルスを受け取った振動子において,そのタイミングでの状態値に基づいて状態更新を行うと,それは結合している振動子との差分で更新することに等しい.そのため,結合素子との差分で状態更新するモデルとして表現できるガボールフィルタや結合MRFモデルをこの回路で実現できる.結合MRFモデルを実現するCMOSLSI回路を設計し,試作LSIで動作を確認した.しかし,CMOS素子の特性バラツキのために振動子の位相がばらつく問題が確認され,それを解決する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
パルス結合型位相振動子の結合系をCMOS回路で実装し,試作チップで動作解析まで行った.また,H24年度に予定していた,結合MRFモデルを実現するCMOSLSI回路の設計も実施し,試作LSIで動作を確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
結合MRFモデルを実現するCMOSLSI回路では,CMOS素子の特性バラツキのために振動子の位相がばらつく問題が確認されたので,それを解決するために改良設計を行い,実LSIチップにてバラツキ軽減の効果を評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
H23年度に余った研究費と併せて,H24年度にCMOS集積回路チップの改良設計を行うための人件費に主に充てる.
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