現行の学校教育における学習課程のなかで探究型学習が何をすることなのかについては、きわめて多様な考え方と実践事例があり、必ずしも明らかになっていなかった。また、そこにおいて学校図書館がどのような役割を果たすところなのかについて、学校関係者のなかで必ずしも了解がとれているとはいえない状況であった。 本研究は、東京大学教育学部附属中等教育学校で行われている探究型学習のなかでとくに、卒業研究執筆に焦点をあてて、これらの諸課題について、実験的な研究を行った。卒業研究執筆は,同校の4年生(高校1年生)の最後の時期から6年生(高校3年生)の夏休み前まで1年半かけて取り組む一大学習過程である。この研究では,併せて、研究のテーマ設定、研究の実施、研究成果の発表の3つの過程で、図書館関連の研究支援を行うことによって,教員のあいだにも支援者を増やすことも意図している。 研究のテーマ設定については、2012年度に、大学院生による「卒業研究アドバイザー」の配置を行い、4年生のテーマ選定について実施することができた。4年生の教員がすでにテーマ選定に向けた指導を行なっていたこともありスムーズに進めることができた。その成果については、アドバイザーの記録を元に分析を行っている。 卒業研究のための図書館の図書選定については、同校司書の支援を得て生徒が選んだテーマについて数冊の図書を選定して実際に図書館に配置した。また、発表については論文の執筆と一部の生徒による口頭発表が行われている。これらについては、卒業研究執筆後の生徒に対して質問紙調査を毎年行うことで、研究過程および執筆・発表過程を明らかにしている。また、これを3年間行うことで比較的な分析をし総合的な評価を行うことになる。
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