研究課題/領域番号 |
23650123
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
家島 明彦 島根大学, キャリアセンター, 講師 (00548357)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マンガ / 人文・社会科学 / 学際的 / 国際的 / データベース / 国際情報交流 / 多国籍 |
研究概要 |
【基盤整備】(1)メーリングリストを立ち上げて研究プロジェクトのメンバー(研究協力者)と常に連絡を取り合える体制を確保し,計画の変更や進捗状況の確認に関する情報共有に随時活用した。(2)また,ウェブ会議システム(Skype)を利用したオンライン・ミーティングを定期的に(隔週ペースで)開催し,研究プロジェクトの推進に必要な議論や研究打合せをおこなった。(3)さらに,プラットフォームの整備だけでなくマンパワーの拡充も図り,研究代表者が立ち上げたYARNという組織(日本マンガ学会の若手研究者ネットワーク部会)のメンバーを中心に研究協力者を補充し,研究プロジェクト推進体制を増強した。【悉皆調査】(1)人文・社会科学における各学問分野の主要な学会誌・ジャーナル・関連雑誌を選定(現時点ではプロジェクトに関わるメンバーの専門分野である心理学,社会学,教育学,ジェンダー研究,歴史学,日本文学,英文学,独文学,仏文学,児童文学から合計77タイトルを抽出)し,悉皆調査のためのフォーマット作成とコンセンサス形成を完了した。(2)合計で19誌447巻号分の悉皆調査を終えた(うち12誌については第1号から最新号まで悉皆調査が終了している)。その結果,89本の論文と115本の関連論文(アニメ,ゲーム,絵本,ポップカルチャー,少年少女雑誌など近接領域を扱っている論文,マンガそのものを扱うわけではないが研究内容がマンガ研究に応用できそうな論文,一言だけ「マンガ」という文字が出てくるだけの論文など)が見つかった。【データベース構築】将来的に国立情報学研究所の学術情報ナビゲータCiNiiに統合できるよう,国立情報学研究所の提供する情報共有基盤システムNetCommonsとリポジトリモジュールWEKOを使って文献検索データベースを構築するよう計画変更し,独自タグの検討などを含む必要な事前調整を終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.悉皆調査に関しては,計画通り各学問領域における主要な学会誌・ジャーナル・関連雑誌を選定し,当該分野で権威ある学会誌から順に悉皆調査(所蔵図書館に足を運び,1巻から順に手にとって,1ページずつ紙を指でめくりながら,マンガに関する記載がないかを実際に目でチェックする作業)を開始しており,既に19誌447巻号分を終了している。2.データベース構築に関しては,将来的に国立情報学研究所の学術情報ナビゲータCiNiiに統合できるように計画変更(データベース構築に際して独自の仕様を避け,国立情報学研究所の提供する情報共有基盤システムNetCommonsとリポジトリモジュールWEKOを使った文献検索データベースを構築する方向で計画変更)して当初よりもハードルを高めに設定し直したにもかかわらず,年度内に大方の目処をつけることができた。悉皆調査で集めた論文情報を学際的・国際的データベースに入力する際の入力規則や新たなメタタグの検討・策定の作業も第一段階を終了している。※複数の研究協力者と悉皆調査を進めていくためには,全員が共通のフォーマットを使用していること,手続きやチェックの基準に共通理解(コンセンサス)があることが前提となる。ここまでが一番大変なところであり,ここが完了すれば,あとは各自が進めていくだけなので,単純作業となる。平成23年度は悉皆調査のためのフォーマット策定に費やし,学会誌ごとにマンガに関する論文・記事の有無を記入していく「チェックシート」,論文ごとにデータベースに入力する情報(基本情報+独自タグ)を記入しておく「カバーシート」,データベースに論文情報をインポートするための「データ入力シート」を開発済みである。
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今後の研究の推進方策 |
主として下記4つの内容を並行して進めていく。(1)前年度から継続して悉皆調査を進める。研究協力者を増やしたり合宿形式で短期集中的に実施したりすることで作業の効率化とペースアップを図っていく。1年目に必要なフォーマット作成とコンセンサス形成を終えたので,2年目以降の悉皆調査は円滑に進むことが期待される。(2)データベースをオンライン上で稼働させる。悉皆調査の結果をデータベースに入力し,オンライン上での動作確認をおこないながら,使い勝手の良いデータベースへと仕様改善(カスタマイズ)していく。2年目からはディジタルアーカイブの研究で科研費採択の実績を持つ情報学,図書館情報学の専門家(柊 和佑 氏)を研究分担者に加え,柊氏を中心としてデータベース構築を進めていく。柊氏は小学館の依頼でマンガの書誌事項+αのメタデータを収集するという本研究プロジェクトと近い内容のプロジェクトを担当していることからも適任であり,2年目以降のデータベース構築は円滑に進むことが期待される。(3)入力したデータとデータベースの多言語化を進める。海外の(あるいは外国人の)研究協力者や留学・翻訳経験のある研究協力者と連携しながら,まずは日本語から英語に翻訳し,それらをドイツ語,フランス語,イタリア語,スペイン語,ポルトガル語,中国語,韓国語へと翻訳していく。多くの論文には既に英題や英語アブストラクトが存在しているが,その他の言語への翻訳には時間がかかると予想されるので,英語以外の外国語については研究協力者の増員など対応を検討したい。(4)研究成果の中間発表として各学問分野の学会大会等で発表(成果報告)をおこなう。日本マンガ学会や日本社会学会などマンガを扱ってきた学会から中心に発表していく。賛同者を研究協力者に巻き込むことも視野に入れている。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記「今後の研究の推進方策」に対応した研究費の使用を計画している。すなわち,次年度の研究費は主として(1)悉皆調査にかかる費用,(2)データベース構築にかかる費用,(3)翻訳作業にかかる費用,(4)成果報告(学会発表)にかかる費用,の4種類に使用することを計画している。※データベース構築に関して,将来的に国立情報学研究所の学術情報ナビゲータCiNiiに統合できるよう発展的に(データベース構築に際して独自の仕様を避け,国立情報学研究所の提供する情報共有基盤システムNetCommonsとリポジトリモジュールWEKOを使った文献検索データベースを構築する方向で)計画を変更したため,1年目に使用するはずだったデータベース構築費が2年目に繰り越されている。サーバーの構築・管理に関しては,素人がおこなうと危険なため慎重になっていたが,2年目からは図書館情報学の専門家(サーバー構築の経験者)を研究分担者に迎え入れる予定なので,順調に進むことが期待される。
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