研究課題
本研究は,クラウド上にWeb 教材の配信拠点を構築することによって,従来のWeb 教材で問題となっていた配信遅延を解消し,円滑な遠隔学習環境を提供する.日本語教育分野では,学習者の地理的密度が高くないため,Web 教材を用いた教育が期待されてきたが,通信遅延等によるレスポンス低下が問題となっていた.そこで本研究では,近年利用可能になってきたクラウドを用い,世界各地のクラウド・サイトに日本語教育Web 教材の配信拠点を構築し, 円滑な学習環境を世界各地の学習者に提供する体制の構築法を研究する. 2013年度は,前年度に作成した第二版の教材の評価を多面的に行った.実際に海外で日本語を教えている日本語教育者に協力を得て評価を行った.評価はマレーシアで行った.クラウドの利用について,本学サーバや東京のクラウド拠点へのアクセスの場合,およそ遅く2~3秒となり,アクセス時間の揺らぎも大きい結果だった.一方マレーシアから地理的に近いシンガポールのクラウド拠点へのアクセスは,両者よりも明らかに応答時間が短く1秒台前半,また揺らぎも最少であった.日本語学習者による評価では,応答時間の短縮と揺らぎの少なさは学習の改善に大きく役立つことが分かった.応答が悪いと学習者が何度も再生ボタン等をクリックしてしまい,システム上で認識している学習と,実際に学習者が行っている操作に乖離が生じ,学習過程で混乱してしまう.今回クラウドを利用し応答時間を短縮したことによって,このような混乱を避けることができた.日本語教授者による評価では,章立てが固定化されたWebコースウェアに加えて,教授者が内容を修正できると良いというコメントが得られた.クラウドの利用に関して,混乱が少ないのは良い.PC利用で混乱すると,教育現場では授業内容よりもPC操作で時間を取られてしまうので,この心配が少ないのは効果的だという評価を得た.
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Microprocessors and Microsystems
巻: accepted ページ: printing
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 52 ページ: 6 pages
10.7567/JJAP.52.07HC03