研究課題/領域番号 |
23650134
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
森山 徹 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (20325898)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 知能 |
研究概要 |
本研究の目的は、深海底に巣穴を掘り生息するオオグソクムシが、プラスティック容器を適切に組み合わせて巣穴を作るパズル課題を解決できるかどうかを、水槽内実験により検証することである。本研究は、申請者らが提唱してきた仮説、「知能は環境に関わらず見出される」を実証する役割を果たす。 具体的には、体長の2/3しか覆われないプラスティックチューブを実験個体にヒモで繋ぎ、穴を掘れない水槽内に放置する。ただし、水槽内には、同じ大きさで、一方の口が閉じられたチューブが数個固定される。ヒモで繋がれた牽引チューブは、両端が開放系で長さも短いため、巣にはなり得ない。固定チューブも、この動物が逃避のために頭部から進入する場合、頭部が閉鎖端につかえるだけで、同じく巣にならない。本実験では、個体が身体性を利用して次第に固定チューブに巣の可能性を見出し始めると、二つのチューブの隙間を埋めるべく、牽引チューブに付いたヒモを、発達した脚で手繰り寄せ、一続きの巣穴チューブを完成させると期待できる。 平成23年度前半には、実験の準備を行った。4月には、新規個体30匹の貰い受け、水槽の手入れ、海水の入替えを行った。本学修士1年生2名へ協力要請した。5-6月には、巣穴パズル実験で使用される、牽引チューブ、固定チューブの設計と製作を行った。精度と信頼性確保のため、専門業者へ製造委託した。7-9月には、撮影、記録環境の整備と準備実験の実施、改善点の洗い出しを行った。 平成23年度後半に、実験方法の確定を行った。10-12月には、各装置、実験方法の改善を行った。1 - 2月には、準備実験2回目を行った。本学修士1年生2名へ協力要請した。3月には、本実験での実験方法の確立、実験手順書の作成を行った。本年度の成果は、次年度に計画されている本実験を円滑に実施する意義を有し、重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画されていた通り、平成23年度前半には実験の準備を、平成23年度後半には実験方法の確定、実験手順書の作成を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度前半:4月:新規個体40匹(内、10匹は予備)の貰い受け、水槽手入れ、海水入替え(本学修士1年生2名へ協力要請)。5-6月:15匹で本実験第1回目の実施(本学修士1年生2名へ協力要請)。7-9月:新規15匹で本実験2回目の実施平成24年度半:10-11月:撮影動画を画像解析ソフトでの解析用に処理(本学修士1年生2名へ協力要請)。日本動物行動学会、または日本甲殻類学会にて途中経過を公表、情報収集。12- 2月:画像計解析ソフトによる個体行動の解析(チューブ組立時の行動に絞り10fps程度で。本学修士1年生2名へ協力要請)。3月:解析結果の統計的評価平成25年前半:4月:解析結果の統計的評価をまとめ、英文論文作成の開始。5-6月:国際生態心理学会(ICPA17)での公表準備と公表。7-9月:英文論文の校正と仕上げ(校正専門業者へ依頼)。日本認知科学会での公表(知能の遍在性の理論的側面について)。平成25年後半:10-11月:国内外の専門家へ論文に対するコメントの依頼。国際学術誌へ論文を投稿(Animal BehaviorまたはJ. Comparative Psychology誌)。12- 3月:研究室のHPに実験結果を掲載する。
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次年度の研究費の使用計画 |
画像解析ソフト(CD-ROM)(HOGA社製 HIM-1の内ソフトのみ):250千円。 実験における個体の行動を定量的に解析するために、撮影動画における個体の各部位(頭部、脚部、重心等)を、当ソフトによって座標化する。国外成果発表:300千円。 国際生態心理学会(ICPA17、ポルトガル)において、途中経過を公表する。実験補助:240千円。 本実験、動画の解析等、独力では多大な時間を要する作業において学生に補助を依頼。
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