研究課題/領域番号 |
23650139
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北澤 茂 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00251231)
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研究分担者 |
中野 珠実 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (90589201)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 時間順序判断 / 脳波 / α波 / 位相 / 経頭蓋交流刺激 / tACS |
研究概要 |
ほとんどすべての脳の時間情報処理のモデルはリズムを刻む「クロック」を仮定している。しかし、その周波数が何Hzであるか、は未解明の問題として残されている。本研究では、10Hzのアルファ波がその基本周波数ではないか、というアルファ波仮説を、外部からの強制同期法を開発して検証する。アルファ波仮説には50年を越える歴史があるが決定的な証拠は未だ得られていない。われわれは偶然、時間順序判断がアルファ波の位相に依存して逆転すると言う予備的な現象を発見した。しかし、受動的なアルファ波の解析では十分安定な結果を得るに至っていない。そこで本研究では経頭蓋的に微弱な交流刺激を加えてアルファ波の位相を同期させる手法を開発して、時間知覚がアルファ波の位相に依存することを明確に示すことをその目標とする。 本年度は、経頭蓋交流刺激(transcranial alternating current stimulation, tACS)を連続的に印加した状態で、左右に10度離れて様々な時間差で出現する2個の視覚刺激の時間順序判断を行い、刺激時点の交流波の位相に応じて時間順序判断が影響を受けるかどうかを調べた。10-20法のCz(頭頂)とOz(後頭正中部)間に8HzのtACSを印加した場合、20ミリ秒の時間差の刺激の判断が、特定の位相では正解(右先行)するのに対し、180度逆の位相では判断が逆転(左先行)する被験者を見出した。現象の再現性はまだ確認中であるが、基本的な仮説を支持する結果が得られつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度中に「tACSをon/offしながら脳波を計測し、外部から加えた交流刺激のリズムと位相が脳のどの範囲に広がっているかを調べる」と記載した点についてはtACSをon/offするための装置の発売が遅れたため実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
任意の交流波形を任意のタイミングで出力できるインターフェースを導入して、外部から加えた交流刺激のリズムと位相が脳のどの範囲に広がっているかを調べる。tACSの印加と解析を様々な電極配置において行い、アルファリズムを最も効果的に促進する電極配置を決定する。その上で、様々な感覚種の刺激を用いた時間順序判断課題を行ってアルファ波仮説が感覚種の組合せによらず成立するかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
任意の交流波形を任意のタイミングで出力できるインターフェースを購入する。残額は脳波計測用の消耗品、被験者謝金、学会参加旅費、論文校閲投稿費、等に使用する。
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