研究課題/領域番号 |
23650142
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
|
研究分担者 |
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90585803)
赤平 昌文 筑波大学, 副学長 (70017424)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 判別分析 / クラスター分析 / 回帰分析 / 高次モーメント / 非ガウス / 異常値 / 逆行列 / 情報量規準 |
研究概要 |
研究計画の初年度に当たる本年度は、高次モーメントを利用した高速かつ高精度な判別手法の開発を目指した。青嶋と矢田は、高次モーメントの情報を取り入れた非ガウスデータの判別手法を開発した。一般に、マハラノビス距離に基づく判別手法は、標本共分散行列の逆行列の計算が不安定になる。そのため、これを縮小型の推定量やナイーブ・ベイズな推定量で代替する先行研究が多く見られる。青嶋と矢田は、これらの推定量が必ずしも好ましい性質をもたないことを示し、固有空間の幾何学的表現に基づく逆行列の新しい推定法を与え、誘導される判別手法の性能が先行研究に優ることを数値的に示した。また、判別関数そのものを非ガウスデータの幾何学的表現から導き出し、それが漸近正規性と一致性を有することを証明し、提案する判別手法に精度保証を与えた。機械学習のサポートベクトルマシンおよび関連ベクトルマシンとの比較を行い、提案手法が計算コストの削減にも成功していることを確認した。青嶋と矢田は、高次モーメントの利用をクラスター分析にも応用し、非ガウスデータの幾何学的表現に基づくクラスタリング手法を提案した。また、青嶋と矢田は赤平と意見交換を密にとり、異常値が混入した非正則な状況下での回帰分析を考えた。異常値に対して頑健なモデル構築を行うためのダイバージェンスを導入し、これに基づくモデル選択基準を与えた。提案する回帰分析法が真のモデルを選択する確率を数値的に評価し、異常値に対して頑健なモデル構築とモデル選択を実現することを確認した。さらに、一連の分析を高速に処理するためのアルゴリズムも開発した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した初年度の研究目的はおおむね達成しており、次年度の研究計画に繋がる研究成果が芽生えてきているため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画に変更はない。当初の研究計画に沿って研究を推進する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
高速計算を可能にする高精度変数選択と異常値検出法の開発を研究する。モデル選択における情報量規準と平滑化パラメータの関連を理論的に明らかにして、平滑化パラメータの最適値を理論的に与え、高速計算を可能にする高精度変数選択法を開発する。さらに、非正則分布における情報量の理論と組み合わせて、多次元の非正則なモデルにおける頑健な変数選択法へと方法論を拡張する。また、潜在分布と異常値が分離するような潜在空間への射影を研究し、高精度な異常値検出法を開発する。得られる潜在空間において、低計算コストかつ高精度な推測を実現する。次年度の研究費は、これらの研究を推進し、研究成果を論文や学会で発表するために使用する。
|