研究課題/領域番号 |
23650142
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
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研究分担者 |
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90585803)
赤平 昌文 筑波大学, 副学長 (70017424)
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キーワード | 異常値 / クラスター分析 / 判別分析 / 高次モーメント / クロスデータ行列法 |
研究概要 |
青嶋と矢田は、高速計算を可能にするための異常値検出法の開発に取り組んだ。多次元データ空間において、潜在分布と異常値が分離するような潜在空間への射影方向を考えた。Yata and Aoshima (2010)で考案したクロスデータ行列法を用いて、新しいクラスタリング手法を開発し、異常値が混在する場合に応用を試みた。その結果、クロスデータ行列の2分割の構成法が、異常値に対する頑健性の決め手になることを突き止めた。実験によると、ある条件のもとで、異常値と潜在分布は明確に分離される。すなわち、データを射影して得られる潜在空間において、異常値が明確に分離された形で可視化される。この実験結果は、低計算コストかつ高精度な異常値検出の可能性を示唆している。また、判別の問題に、高次モーメントを利用する方法についても研究を推進した。Aoshima and Yata (2011)で提案した高次モーメントを利用した2群の分類手法について、永橋・矢田・青嶋 (2012)は判別確率に関する一致性を理論的に証明し、従来の分類手法よりも精度に優ることを理論的かつ数値的に示した。現在は、一般化距離に関する判別手法へと理論と方法論を拡張し、多群の場合への適用を検討している。赤平は、ピアソンのカイ2乗適合度検定とステューデントt分布を再考し、2標本問題において、基盤となる非心t分布に関する高次近似とそれに伴う高速計算を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的はおおむね達成しており、次年度の研究計画に繋がる研究成果が芽生えてきているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に変更はない。当初の研究計画に沿って研究を推進する。具体的には、異常値が混在する非ガウス性をもった多次元データについて、潜在空間を精密に解析する。前年度までに芽生えた高次モーメントの利用と射影法を融合させて、高速で頑健かつ高精度な潜在空間の推測法を理論的に構築する。ノイズや異常値の影響を排除して、潜在空間に推測のターゲットを絞ることで、頑健で高精度な統計解析の適用と大幅な計算コストの削減を実現する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費および平成24年度未使用額については、本研究課題を纏めて研究成果を論文や学会で発表するために使用する。
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