研究課題
研究計画最終年に当たる本年度は、外れ値が混在するデータ空間における潜在空間の解析に取り組んだ。青嶋と矢田は、外れ値が混入する多変量データの潜在空間の推定を考え、従来型の推定とクロスデータ行列法による推定を比較し、それぞれの方法が推測の精度を保証するための条件を理論的に明らかにした。クロスデータ行列法とは、Yata and Aoshima (2010, Journal of Multivariate Analysis)において考案された高次元データ解析のためのノンパラメトリック法である。本研究は、クロスデータ行列法を通常の多変量データ解析の枠組みで扱い、その性質を研究したものである。その結果、従来型の推定法は、母集団分布のガウス性・ノイズの大きさ・外れ値の混入率に精度が著しく影響されるのに対して、クロスデータ行列法は、それらに極めて頑健に推測の精度を保証することが分かった。さらに、クロスデータ行列法は、従来の多変量解析法と比べて計算コストを大幅に軽減させることも分かった。以上から、高速で頑健かつ高精度なクロスデータ行列法は、多変量解析の枠組みにおいても有力なノンパラメトリック法となり得るであろう。実際、青嶋と矢田は、赤平とも意見交換を行い、クラスター分析と判別分析におけるクロスデータ行列法による新しいアプローチを考え、その方法論を理論的に纏めた。なお、本年度に得られた研究成果の幾つかは、海外の学術雑誌に投稿中である。また、その一部については、国内外の学会やシンポジウムで成果発表を行った。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
Annals of the Institute of Statistical Mathematics
巻: (印刷中)
10.1007/s10463-013-0435-8
Sri Lankan Journal of Applied Statistics, Special Issue: Modern Statistical Methodologies in the Cutting Edge of Science
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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http://www.math.tsukuba.ac.jp/~aoshima-lab/