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2013 年度 実施状況報告書

多次元解析による仏像の造像様式の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23650147
研究機関同志社大学

研究代表者

村上 征勝  同志社大学, 文化情報学部, 教授 (00000216)

キーワード仏像 / 造像様式 / 主成分分析 / 目の形状 / 楕円フーリエ級数
研究概要

本研究の目的は、これまで定性的な観点からの研究が中心であった仏像の造像様式を、仏像頭部の正面写真と側面写真の2枚の写真から得られる2次元形状データを解析し、数量的観点から造像様式に関する新たな知見を得ることで、データサイエンスの手法を用いた仏像研究の基礎を作ることにある。
申請時の計画では、11世紀前半に仏師定朝により完成された和様の様式と、定朝以前の造像様式、定朝以後の12世紀後半からの鎌倉様式の三つの造像様式の違いを数量的な観点から明らかにすることを試みる予定であった。しかし定朝以前の仏像に関しては、正面と側面の2枚の写真を入手できる仏像が少ないことが判明したので、解析対象を平安期(11世紀前半に仏師定朝により完成された和様の様式)と鎌倉期(定朝以後の12世紀後半からの鎌倉様式)の造像様式の違いを多次元解析を中心に比較・検討することとした。本来ならば仏像の全身像を用いての解析が望ましいが、データ取得・解析の困難さを考慮し、本研究では仏師が仏像を作製する際に最も力を注いだと考えられる仏像頭部だけを解析する。
初年度は、写真から得られる目、鼻、口、眉などの位置や顔の輪郭の形状を計測し、仏像(写真)の大きさに影響を受けない、3つの計測点間の角度情報を主成分分析などの多次元解析法で分析した。
2年目は目に的を絞り、楕円フーリエ級数を用いて目の形状の解析を試みたが、平安期と鎌倉期の造像様式の違いを明確にするまでにはいたらなかった。
本年度は、多種ある仏像の中でも如来像だけを対象として、3点間の角度情報に加え、2点間の距離の比の情報も併用した解析を行った結果、平安期と鎌倉期の造像様式の違いをある程度まで解明することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本務の仕事が予想外に多忙になったことに加え、仏像頭部の3次元形状を正面写真と側面写真の2枚の写真から把握する方法の再検討に時間を要した事と、さらに研究補助のためのアルバイトの学生の確保が困難であったなどの諸事情のため、研究の進行が予定より遅れた。

今後の研究の推進方策

研究は、①頭部の計測した3点間の角度の解析、②目の形状の解析、③3点間の角度および2点間の距離の比を用いた解析と進めてきた。如来像に関しては、ある程度平安期と鎌倉期の造像様式の違いを数量的に明らかにすることができたが、造像様式の違いをより明瞭に浮き上がらせるためは、頭部形状に関する新たな計測点及びそれらを用いた解析変数を探索すると同時に、それらを用いた多次元の解析法について検討する。
また現状では、正面写真、側面写真が入手できる仏像の数は限られているため、撮影角度が異なる2枚の写真を用いて、正面および側面から撮影した場合の頭部形状を推定し、解析する方法についても検討する。

次年度の研究費の使用計画

アルバイトの学生の確保が難しかったことに加え、本務の仕事が多忙で当初計画していた研究時間が持てなかったため、研究に必要な購入資料の選定できなかったことによる。
設備備品費は仏像の写真データや造像様式に関する研究資料の購入費である。旅費は博物館等での情報収集と国文学研究資料館での研究資料、統計数理研究所でのデータ分析法に関する最新の研究情報の収集、及び研究会・学会での研究成果発表の為のものである。謝金は資料収集・整理、データ作製、分析補助の為のものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 仏像の計量分析ー平安後期・鎌倉期の造像様式の特徴比較2013

    • 著者名/発表者名
      上田晴奈、村上征勝
    • 雑誌名

      日本情報考古学会講演論文集

      巻: 11 ページ: 95-100

  • [学会発表] 仏像の計量分析ー平安後期・鎌倉期の造像様式の特徴比較2013

    • 著者名/発表者名
      上田晴奈、村上征勝
    • 学会等名
      日本情報考古学会第31回
    • 発表場所
      鹿児島国際大学
    • 年月日
      20130928-20130929

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公開日: 2015-05-28  

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