本研究の目的は、仏像の頭部の形状を多次元解析法で解析することで、11世紀前半に仏師定朝により完成されたとされる和様の様式(定朝様式)と、12世紀後半からの鎌倉様式の造像様式の違いを数量的な観点から明らかにする点にあった。そのため、像造銘記から制作年代が明確な平安後期の仏像20体、鎌倉期20体の計40体の頭部形状を分析した。現時点では多数の仏像頭部の3次元情報を得ることは不可能なため、仏像頭部の正面写真、側面写真の2枚の写真を用い、目、鼻、口、耳などの部位の位置情報から3点間の角度及び2点間の距離の比を求め主成分分析で、二つの期の像造様式の違いは顔の面長さに現れているという結果を得た。
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