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2012 年度 実施状況報告書

単純化遺伝暗号を併用する細胞の構築

研究課題

研究課題/領域番号 23650155
研究機関東京工業大学

研究代表者

木賀 大介  東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30376587)

キーワード合成生物学 / 遺伝暗号 / リボソーム / tRNA / 直交性
研究概要

本研究の目的は、遺伝暗号に焦点をあてた構成的アプローチによって、「生命を構成するために20種類のアミノ酸全てが必要か」、という疑問を追求するための細胞を構築することにある。生命の最重要な演算である翻訳過程に用いられる遺伝暗号は、基本的に全ての生物に共通している。では、なぜ生命は現在の20種類のアミノ酸セットを採用したのだろうか?単純なかたちから複雑なかたちへと変化する進化の本質を考慮すれば、遺伝暗号の成立時から20というアミノ酸の種類が定まっていたとは考えにくい。この疑問に答えるために、申請者はすでに、19種類以下のアミノ酸のみで成立する「単純化」遺伝暗号表を試験管内に構築している。最終的には19種類のアミノ酸でのみ生育する生物の創生を目指しており、本研究では、トリプトファンを用いない単純化遺伝暗号を細胞内に構築できることを示し、さらなる遺伝暗号の進化の研究の基盤とする。
本研究では、本来トリプトファンを指定するUGGコドンがアラニンを指定することで19種類のアミノ酸のみが記されている「単純化」遺伝暗号を、細胞内に構築する。そのための第一段階として、ゲノム上のtRNA(Trp)を失い、温度感受性プラスミド上の野生型tRNA(Trp)によって生育する大腸菌の作成を試みた。プラスミド上の野生型tRNA(Trp)の動作を確認するために、このプラスミドのアンチコドン部位に変異を加えたサプレッサーtRNAを作成した。このサプレッサーtRNAが機能したことから、プラスミド上の野生型tRNA(Trp)も予想通り動作すると考えられる。現在、続いてゲノム上の野生型tRNA(Trp)の削除を試みている。
本研究に関連する遺伝暗号改変の原著論文を公表した。遺伝暗号の進化に関する総説が受理されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

温度感受性プラスミドから発現して機能するサプレッサーtRNAを作成できているものの、このサプレッサーtRNAを作成する基となったトリプトファンtRNAにのみ依存して生育する大腸菌を作成できていない。このため、研究期間を延長した。一方、遺伝暗号改変研究に有用なタンパク質変異体を得ている点が、当初予定していない進展である。

今後の研究の推進方策

温度感受性プラスミドから発現して機能するトリプトファンtRNAにのみ依存して生育する大腸菌を作成し、続いて本来の計画通りのリボソーム変異体を作成する。得られたタンパク質変異体についての解析を進める。

次年度の研究費の使用計画

遺伝暗号の改変と研究会での発表費用に充てる。前者のために、培地、酵素などを購入する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The number of amino acids in a genetic code2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuaki Amikura, Daisuke Kiga
    • 雑誌名

      RSC Advances

      巻: 3 ページ: 12512-12517

    • DOI

      10.1039/C3RA40609A

  • [雑誌論文] Simplification of the genetic code: restricted diversity of genetically encoded amino acids2012

    • 著者名/発表者名
      Akio Kawahara-Kobayashi
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Research

      巻: 40 ページ: 10576-84

    • DOI

      10.1093/nar/gks786

    • 査読あり
  • [学会発表] 原始タンパク質を創造するための単純化遺伝暗号表

    • 著者名/発表者名
      網蔵和晃
    • 学会等名
      生命の起原および進化学会第38回学術講演会
    • 発表場所
      九州大学
  • [学会発表] Earth-Life Science Institute 1st International Symposium

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kiga
    • 学会等名
      Keynote:Synthetic experiment of life and evolution of genome
    • 発表場所
      Tokyo tech
  • [学会発表] Simplification of the genetic code: construction of a 19-amino acid genetic code

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kiga
    • 学会等名
      COLD SPRING HARBOR ASIA CONFERENCES on Synthetic Biology
    • 発表場所
      Suzhou, China

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公開日: 2014-07-24  

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