研究課題
本研究は研究代表者を含む日本の研究グループとオーストリア・グラーツ大学の研究グループで行う共同研究「個体神経機構を反映したコロニーモデルによるミツバチの環境適応機構の統合的理解」の一環として行っている。研究代表者の役割は「個体レベルでの個々のミツバチの行動を数値化すること」、「集団としての行動を把握するためのデータ取得を行うこと」であり、実験に適した個体追跡システムの構築およびデータ取得・提供を担当している。平成24年度の研究課題は「個体間相互作用の解析のための実データ提供」および「ミツバチの社会性行動シミュレーションのための実データ提供」である。これらの課題の目標を達成するため、平成23年度に開発した個体同時追跡システムを用いて、実際の映像からデータの取得を行い、システムの有効性を検討した。開発システムを用いてアリーナ映像から各個体の位置、移動方向、速度、加速度の基本データの取得を行い、さらに個体間の距離を計算することにより、個体間接触の状態を検知することができた。この状態を解析することにより、ミツバチの個体間相互作用時行動の特徴が5つの行動に分類されることがわかった。これらの結果から開発したシステムで、必要なデータを取得できる、と言える。この成果は国際会議 the 2012 Fifth International Conference on Emerging Trends in Engineering and Technology (ICETET-12)で口頭発表を行った。また、様々な動物・昆虫の行動追跡・解析に用いられているBransonらが開発したCtraxとの性能比較を行い、ミツバチの行動追跡においては我々が開発したシステムの方が有効であった。このことは、論文誌PLOS ONEに投稿する予定である。以上のことから本研究の目的・課題はおおむね達成できた。
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Proceeding of the 2012 Fifth International Conference on Emerging Trends in Engineering and Technology (ICETET-12)
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