行動の「個性」には、生後の環境だけでなく遺伝的要因も影響すると考えられている。しかし、責任遺伝子の同定や、行動の多様性を産み出す遺伝子基盤の解析はあまり進んでいない。本研究では種内の遺伝的多様性の高いメダカ(Oryzias latipes)を用いて、行動形質に関わる遺伝子座を探索した。視覚刺激依存の逃避様反応に系統差が見られたため、2つの近交系、HNI-IIとHdrR-IIに視覚刺激を呈示し、反応を比較した。その結果、HNI-IIはHdrR-IIに比べて反応率が高く、馴れも生じにくかった。2つの近交系間でF2世代を作出し、量的形質遺伝子座(QTL)解析を行った結果、刺激への馴れにくさに関わる領域が16番染色体上に存在することが示唆された。近交系間の行動特性の違いは、行動の種内多様性を反映すると考えられる。
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