運動を連続して行うとリズムが生まれる。リズムは、連続運動を遂行する際の体部位間のコーディネーションを司るための指標となっている可能性がある。このリズムの形成を司る脳部位を明らかにするために、リズミカルなステップパターンでマウスを走行させるステップホイール装置を使用して、マウスを走行させた。 新規なステップパターンを走行させると、最初は運足の周期性(リズム)は弱いが、学習が進むに連れて周期性が高まり、また左右の脚のコーディネーションも高まってくることが認められた。このことは、複雑な連続運動の学習は、体部位間のコーディネーションを確立する過程であること、そのコーディネーションは位相を利用した体部位リズムの結合であることを示している。 そこで、大脳皮質と線条体から神経活動の記録を行い、周期的な運足や飲水に関係する神経活動の探索を行った。複雑な走行を行っているマウスにおいても、左右の四肢の運足と飲水のリズムは、一定の位相で結合されている。これまでのところ、大脳皮質運動野と線条体から、非常に周期的な神経活動を記録している。ただし、周期性の繰り返し数を比較してみると、線条体の神経活動のほうが、周期性が高い結果が得られている。また、線条体からは、運足と飲水の両方のリズムに相関する神経活動が得られた。線条体が、リズムの位相による結合に関与している可能性を示すものとして注目している。 神経活動の記録と光刺激を同時に行うためのヘッドステージを開発し、マウス走行時に光刺激を行う実験を行った。光刺激により走行状況の変化が観察されており、現在刺激タイミングと走行状況の関係を解析している。
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