研究概要 |
本年度は以下の研究を行った。 まず、各種遺伝子改変動物に対する検討を行った。 ニューロジェネシンノックアウトマウスを完成し、平成23年度中に実験に提供することができた。また、BMP2,4,7等のリガンドや、noggin等のantagonistのホモノックアウトマウスは胎生致死であるが、多くの研究室で、神経系でのみそれらの蛋白を欠失するコンディショナルノックアウト動物を作成しており、それらの遺伝子改変動物を入手し、実験に供した。それらを用いて以下の実験を行なった。まず、形態学的解析として各種遺伝子改変動物の神経系を中心にそのマクロな表現系を解析した。更に、免疫組織化学法、免疫電顕法をもちいて、神経系の微細構造の変化について観察した。更には、逆行性、あるいは順行性tracerを用いて、様々な神経回路のtargetingの異常について詳細に検討した。その結果、BMPシグナル系がtargetに深く関与している事が明らかとなった。 次に、機能的解析として、各種遺伝子改変動物について、知覚や運動、行動の異常の有無を検討する。更に、ノックアウトマウスから、各種ニューロンの初代培養やスライス培養を調整し、BMPシグナル関連蛋白を培地に加えたときの軸策伸張の様子を、ワイルドタイプマウスと比較検討した。その結果、BMPシグナルが軸索の成長を制御していることが明らかとなった。 以上より、神経回路形成及びその維持におけるBMPシグナリング系の役割の一端を明らかにすることができた。
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