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2011 年度 実施状況報告書

神経損傷・修復時に発現するタンパク質メチル化酵素(PRMT)の機能を解析する

研究課題

研究課題/領域番号 23650183
研究機関大阪大学

研究代表者

森 泰丈  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00343252)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード翻訳後修飾 / タンパク質メチル化 / ミクログリア細胞 / 翻訳因子
研究概要

)活性化マイクログリア細胞に特異的に発現するアルギニンメチル化酵素であるPRMT8の生化学的解析我々はこれまで神経細胞特異的に発現する酵素であると報告されてきたPRMT8が、脊髄損傷後の活性化型ミクログリア細胞に強く発現することを明らかにしてきた。ミクログリア特異的に発現するPRMT8は細胞膜に強い発現を示す点で神経細胞に発現するものと明らかに性質が異なる。次に不死化させたミクログリア細胞株であるMG5細胞を用いて生化学的な検討をおこなった。MG5細胞においても特異的抗体に対する免疫反応性がウェスタンブロットで確認できたが、見かけの分子量が60kDaと予測よりも高分子側にシフトすることが分かった。このバンドはsiRNAに反応して消失し、またアルカリフォスファターゼによる脱リン酸化により免疫反応性が低下することから、ミクログリアではPRMT8はリン酸化を受け高分子型のタンパク質として検出されることを見出した。現在ミクログリア細胞特異的なリン酸化がPRMT8において起きるメカニズムについての検討をおこなっている。2)アルギニンメチル化による翻訳調節機構の検討 タンパク質アルギニンメチル化の主要なターゲットとしてRNA結合タンパク質が挙げられる。損傷脊髄に出現する活性化ミクログリアは突起を減らし丸型の細胞に変化するが、その時にβアクチンの発現を変化させていると考えられる。βアクチンの発現は翻訳レベルにおいても制御されていることから、ミクログリア細胞の形態変化がRNA結合タンパク質のメチル化により起きる可能性を検討することにした。この目的でアクチンmRNAの翻訳をリアルタイムに検出するシステムの開発をおこなった

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ミクログリア細胞に発現する高分子型PRMT8がリン酸化によるものであることを明らかにし、さらになぜミクログリア細胞においてのみ特異的なリン酸化が起きるのかを明らかにする。現在その理由を翻訳開始点に求めており、ミクログリアではより5’末端側の開始コドンが使われることで産生されるPRMT8がN末端ミリストイル化を受け膜成分に移行することが、リン酸化の原因ではないかと予想し実験を進めている。また翻訳の進行をリアルタイムに検出するシステムに関しても、アデノウイルスベクターの作製を終了し、ウイルス粒子が完成しつつある。

今後の研究の推進方策

我々はミクログリア特異的PRMT8について、翻訳開始点の変化によりN末端側に新たな翻訳修飾が加わることが原因で細胞内局在が膜に移行し、リン酸化が起きると考え研究を継続していく予定である。さらにミクログリア細胞においてPRMT8の発現を抑制したときにタンパク質のメチル化レベルの変動を解析したいと考えている。同時にβアクチンmRNA上に形成される翻訳停止因子間の相互作用を利用した翻訳のリアルタイムな検出に取り組む予定である。

次年度の研究費の使用計画

ミクログリア細胞ではニューロンと異なる翻訳開始コドンを使用することにより、N末端側に15アミノ酸残基が付加されることになる。我々はこれを完全に証明する目的で、この15残基に対するポリクローナル抗体を作製する。(約35万円)

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] マイクログリア細胞におけるアルギニンメチル化酵素PRMT8の発現とその意義

    • 著者名/発表者名
      森 泰丈、宮田 信吾、遠山 正彌
    • 学会等名
      第54回日本神経化学会(石川)大会
    • 発表場所
      石川県 山代温泉
    • 年月日
      平成23年9月27日

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公開日: 2013-07-10  

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