研究課題/領域番号 |
23650186
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大隅 典子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00220343)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 統合失調症 / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / オリゴ新生 / 神経新生 |
研究概要 |
統合失調症患者における脳画像および剖検脳解析より、統合失調症の病態とオリゴデンドロサイトやミエリン形成障害との関連性が示唆されている。本研究では孤発性の統合失調症モデル動物としてFabp7ノックアウト(KO)マウスを用い、統合失調症の病態におけるオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPCs)の関与について検討した。OPCsにおけるFabp7の発現について検討するため8週齢のマウス海馬において免疫組織化学的解析を行った。PDGFRa陽性のOPCsは海馬に一様に存在し、そのほとんどがFabp7を発現していた。OPCsの増殖がFabp7によって制御されるか検討するため、Fabp7KOマウスおよび野生型同腹仔に対して増殖細胞の標識を行った。これまでの報告と一致して、海馬歯状回の顆粒細胞下層に存在する神経幹細胞の増殖はFabp7の欠損によって低下していたが、OPCsの増殖に有意な変化は認められなかった。したがってOPCsの増殖はFabp7により制御されている可能性は低いことが明らかとなった。また、抗精神病薬の投与がOPCsの増殖および分化に及ぼす影響について検討するため、定型抗精神病薬ハロペリドールの投与条件の検討を行った。今後はFabp7がOPCsの細胞形態やオリゴデンドロサイトへの分化に及ぼす影響について検討するため、より詳細な組織学的解析およびオリゴデンドロサイトの分化マーカーを用いた解析を行う。また、Fabp7KOマウスおよび野生型同腹仔に対して投薬を行いハロペリドールがOPCsの増殖および分化に及ぼす影響について検討し、さらにPPIテストやオープンフィールドテストによりFabp7KOマウスの示す統合失調症様異常行動を評価し、抗精神病薬の投薬の効果とOPCsの増殖および分化との関連性について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
東日本大震災の影響により、Fabp7KOマウスのコロニーを大幅に縮小せざるを得ず、解析に十分な数のFabp7KOマウスを用意するのに時間を要した。またX線照射施設の利用ができずOPCs除去実験を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はFabp7がOPCsの分化や細胞形態に及ぼす影響を解析し、OPCsにおけるFabp7の機能を明らかにする。また、昨年度に確立した投薬条件に従ってFabp7KOマウスおよび野生型同腹仔にハロペリドールを投与し、OPCsの増殖および分化に及ぼす影響について検討する。さらにPPIテストやオープンフィールドテストによりFabp7KOマウスの示す統合失調症様異常行動を評価し、抗精神病薬の投薬の効果とOPCsの増殖および分化との関連性について検討する。昨年度はマウス頭部用の放射線遮蔽器具および照射条件検討用マウス購入費用を予算の一部として計上していたが、実際にはこれを執行しなかった。これは上述のとおりX線照射施設の利用ができず実験を行わなかったためである。本年度は改めてX線によるOPCsの除去システムの確立を検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
放射線実験器具 200千円、OPCs除去実験条件検討用実験動物 200千円、投薬実験用実験動物 1,000千円免疫組織学解析用試薬 500千円、薬理解析用試薬 500千円
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