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2012 年度 実績報告書

統合失調症の病態におけるオリゴデンドロサイト/オリゴデンドロサイト前駆細胞の関与

研究課題

研究課題/領域番号 23650186
研究機関東北大学

研究代表者

大隅 典子  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00220343)

キーワード統合失調症 / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / オリゴ新生 / 神経新生
研究概要

統合失調症患者における脳画像解析および剖検脳を用いた遺伝子発現解析、遺伝学的解析等より、統合失調症の病態とオリゴデンドロサイト/ミエリン障害との関連性が示唆されている。そこで本研究では、オリゴデンドロサイトの前駆細胞として知られるオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPCs)に着目して、マウスにおける統合失調症様行動異常とオリゴ新生との関連性について検討した。
まず、孤発性の統合失調症モデル動物としてFabp7ノックアウト(KO)マウスを用い、統合失調症の病態におけるオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPCs)の関与について検討した。8週齢のマウス海馬において、PDGFRa陽性のOPCsは海馬に一様に存在し、そのほとんどがFabp7を発現していた。Fabp7KOマウスにおいて、海馬歯状回の顆粒細胞下層に存在する神経幹細胞の増殖はFabp7の欠損によって低下していたが、OPCsの増殖には有意な変化は認められなかった。
次に、Fabp7 KOマウスと同様に、統合失調症様行動異常としてプレパルス抑制(PPI)の低下を認める自然発症Pax6変異マウスに関してOPCsの解析を行った。野生型マウスでは海馬OPCsのうち約7%程度にPax6が発現しており、Pax6陽性のOPCsは増殖能が高い集団であることが明らかとなった。C57BL/6J系統のPax6ヘテロ変異マウスではOPCsの増殖が低下していたが、ICR(CD1)系統のPax6ヘテロ変異マウスではPax6陽性のOPCsの増殖は野生型と同等であった。4週齢のC57BL/6J系統Pax6ヘテロ変異マウスでは脳梁におけるミエリン塩基性タンパク質の染色性が減少する傾向にあった。
これらの結果から、Pax6は脳の発達期においてOPCsの増殖を制御し、神経線維のミエリン化を促進している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A Sensitive Period for GABAergic Interneurons in the Dentate Gyrus in Modulating Sensorimotor Gating2013

    • 著者名/発表者名
      Guo,N., Yoshizaki,K., Kimura, R., Suto, F., Yanagawa,Y. and Osumi,N.
    • 雑誌名

      The Journal of Neuroscience

      巻: 33(15) ページ: 6691-6704

    • DOI

      DOI:10.1523/JNEUROSCI.0032-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reduced Proliferation and Excess Astrogenesis of Pax6 Heterozygous Neural Stem/Progenitor Cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Sakayori, N., Kikkawa, T. and Osumi, N.
    • 雑誌名

      Neurosci Res

      巻: 74 ページ: 116-121

    • DOI

      10.1016/j.neures.2012.08.004.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Penetration and differentiation of cephalic neural crest-derived cells in the developing mouse telencephalon.2012

    • 著者名/発表者名
      Yamanishi, E., Takahashi, M., Saga, Y. and Osumi, N.
    • 雑誌名

      Dev Growth Differ

      巻: 54 ページ: 785-800

    • DOI

      10.1111/dgd.12007.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「心の病」の齧歯類モデルにチャレンジする2012

    • 著者名/発表者名
      大隅典子
    • 雑誌名

      実験医学(増刊)

      巻: 30 ページ: 65-71

  • [学会発表] 心の病の動物モデル

    • 著者名/発表者名
      大隅典子
    • 学会等名
      第4回次世代シグナル伝達医学グローバルCOE研究討論会
    • 発表場所
      神戸
    • 招待講演
  • [学会発表] ことばが生まれる! ~神経生物学から起源を探る~

    • 著者名/発表者名
      大隅典子
    • 学会等名
      東北大学サイエンス・カフェ
    • 発表場所
      仙台
  • [学会発表] 感覚運動ゲート機構成立における海馬神経新生の臨界期

    • 著者名/発表者名
      大隅典子
    • 学会等名
      海馬と高次脳機能学会
    • 発表場所
      金沢(石川)
    • 招待講演
  • [学会発表] 脳の機能と栄養

    • 著者名/発表者名
      大隅典子
    • 学会等名
      株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所 応用脳科学コンソーシアム主催 応用脳科学アカデミー
    • 発表場所
      東京
    • 招待講演
  • [備考] 精神疾患発症脆弱性の臨界期を示唆 早期の環境的介入が精神疾患の発症を予防する可能性

    • URL

      http://www.med.tohoku.ac.jp/uploads/130412PressRelease-osumi.pdf

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公開日: 2014-07-24  

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