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2012 年度 実績報告書

グリア-神経乳酸シャトルによる記憶形成と脳老化調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23650198
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

齊藤 実  公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 参事研究員 (50261839)

研究分担者 堀内 純二郎  首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (80392364)
キーワード老化 / 学習記憶 / ショウジョウバエ / ピルビン酸カルボキシラーゼ / D-セリン
研究概要

加齢性記憶障害は脳老化の重要な指標であるが、その分子機構は未だ殆ど分かっていない。我々はグリアにあるピルビン酸カルボキシラーゼ(PC)の活性が、加齢に伴い上昇することが加齢性記憶障害の原因であることをショウジョウバエで見出した。グリアからは乳酸が、神経活動に応じて神経細胞に供給される。我々はGNLSを担う乳酸合成酵素LDHの変異体で連合学習が顕著に障害されること、また乳酸の輸送に関わるモノカルボン酸トランスポーター(MCT1)の変異体でも同様に顕著な学習障害を見出した。そこで我々は加齢性記憶障害はPC の活性上昇によりグリア-神経乳酸シャトル(GNLS)が低下したことによるとの仮説を立て、本研究で検証を行なった。連合学習により予想通り乳酸レベルが上昇することを確認し、予備結果のとおり、加齢体に乳酸を摂取させると顕著な加齢性記憶障害の改善がみられることを確認した。そこで加齢体で乳酸レベルが低下しているか調べたところ、予想外にも加齢体では乳酸レベルが学習後に上昇した乳酸レベル程度にまで上昇していた。
では何故PCの活性上昇により加齢性記憶障害が起こるのか? dPCの活性上昇により産生が上昇するオキサロ酢酸とオキサロ酢酸から産生されるアスパラギン酸には、グリア由来のNMDA受容体アゴニストであるD-セリンを産生するセリンラセマーゼ(SR)に対する阻害効果があることに着目し、老齢体でD-セリンレベルを調べたところ、顕著な低下がみられた。PCの過剰発現体でもD-セリンレベルの低下がみられ、さらに老齢体、PC過剰発現体いずれの記憶障害もD-セリン摂取により改善された。以上の結果から加齢によりPC活性が上昇したことでSR活性が阻害され、D-セリン合成が低下したことが記憶障害の原因であることが示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Fasting launches CRTC to facilitate long-term memory formation in Drosophila.2013

    • 著者名/発表者名
      Hirano, Yukinori
    • 雑誌名

      Science

      巻: 339 ページ: 443-6

    • DOI

      10.1126/science.1227170

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Long-term enhancement of synaptic transmission between antennal lobe and mushroom body in cultured Drosophila brain.2013

    • 著者名/発表者名
      Ueno, Kohei
    • 雑誌名

      J Physiol

      巻: 591 ページ: 287-302

    • DOI

      10.1113/jphysiol.2012.242909.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 記憶改善に向けた新たな進展:軽度の空腹状態は長期記憶形成を促進する2013

    • 著者名/発表者名
      平野恭敬
    • 雑誌名

      細胞工学

      巻: 32 ページ: 452-453

  • [雑誌論文] Mg(2+) block of Drosophila NMDA receptors is required for long-term memory formation and CREB-dependent gene expression.2012

    • 著者名/発表者名
      Miyashita, Tomoyuki
    • 雑誌名

      Neuron

      巻: 74 ページ: 887-98

    • DOI

      10.1016/j.neuron.2012.03.039.

    • 査読あり
  • [学会発表] The rest interval dependent MAPK activation forms and sustains c-fos and CREB transcriptional cycling required for long-term memory.

    • 著者名/発表者名
      齊藤 実
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 招待講演
  • [学会発表] 長期記憶形成に必要な神経-グリア相互作用

    • 著者名/発表者名
      松野元美
    • 学会等名
      日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 招待講演
  • [備考] ようこそ東京都医学総合研究所学習記憶プロジェクトHPへ

    • URL

      http://www.igakuken.or.jp/memory/

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公開日: 2014-07-24  

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