研究課題/領域番号 |
23650200
|
研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
山内 淳司 独立行政法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 室長 (20335483)
|
キーワード | 末梢神経 / 脱随疾患 / 髄鞘化 / 遺伝子改変動物 / RNA干渉 |
研究概要 |
研究計画次年度以降は、ミエリン形成が促進され肥厚したミエリンをもつDock7ノックダウンマウスを用い、数種類のCMT病モデルマウスと交配実験を行うことによって、マウスの脱ミエリン現象が改善されるかを検討する。また、研究計画初年度で同定された、新しい治療標的分子に対する遺伝子改変マウスを作成し、in vivoでの脱ミエリン現象の改善効果も併せて検討する。 [研究の方法] Dock7ノックダウンマウスの作製方法は、導入遺伝子配列以外は通常のトランスジェニック(TG)マウス作製要領と同じである。すなわち、Dock7を標的としたRNA干渉(ノックダウン)配列をコードし、緑色蛍光蛋白質を発現する配列を有したDNA断片を受精卵にインジェクションするのである(オリジナルの作成方法の文献:Pengら Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2006,103,2252-2256)。応募者らは、インジェクションするRNA干渉配列のプロモーター付近と転写終了直後の配列に改良を加え、in vivoでのノックダウン効率を上昇させることに成功している。この方法の利点は、マウスの作成期間が短く、かつ比較的安価に作製でき、in vitroで成功した標的配列等の実験内容を、ほぼ同じようにin vivoに応用できる点にある。 [研究の成果] 実際、Dock7をin vivoでノックダウンさせると、同腹のノントランスジェニック(NTG)と比べ、座骨神経のミエリン形成が促進され、ミエリンが肥厚していることが分かった。今後、この遺伝子改変マウスを脱ミエリン病モデルマウスと交配することにより、Dock7が脱ミエリン病の創薬標的として適当かどうか判断する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ShRNAトランスジェニック(TG)マウスの作製に成功した。繰り返しになるが、この手法は通常のトランスジェニック(TG)マウス作製要領とほぼ同じである。したがって、遺伝子改変マウスの作成期間が短く、かつ比較的安価に作製できる。勿論、ノックアウトマウス作製が、目的とする遺伝子の生体内での機能を明らかにすることに最も適していることは確かであるが、ShRNA TGマウス作製法は、創薬標的の生体レベルで機能を明らかにする第一次スクリーニングに適していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、Dock7 ShRNAトランスジェニック(TG)マウスを脱ミエリン病モデルマウスと交配することにより、Dock7が脱ミエリン病の創薬標的として適当かどうか判断する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ShRNAトランスジェニック(TG)マウスの作製方法は、導入遺伝子配列以外は通常のトランスジェニック(TG)マウス作製要領と同じである。すなわち、標的のRNA干渉(ノックダウン)配列をコードし、緑色蛍光蛋白質を発現する配列を有したDNA断片を受精卵にインジェクションするのである(オリジナルの作成方法の文献:Pengら Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2006,103,2252-2256)。応募者らは、インジェクションするRNA干渉配列のプロモーター付近と転写終了直後の配列に改良を加え、in vivoでのノックダウン効率を上昇させることに成功している。この方法の利点は、マウスの作成期間が短く、かつ比較的安価に作製でき、in vitroで成功した標的配列等の実験内容を、ほぼ同じようにin vivoに応用できる点にある。 まず、in vitroのデータをin vivoで検討するため、Dock7ノックダウンマウスとIA型CMT病モデルマウスを掛け合わせ、脱ミエリン現象が改善されるかを検討する。次に、異なった遺伝子変異に起因する数種類のCMT病モデルマウスに対しても改善効果があるかを検討する。さらに、Dock7経路に属する他の分子のノックダウンマウスを作成し、同様の交配実験を行い、それらの病態改善効果を検討する。これらは治療標的分子を同定する研究であるとともに、CMT病に共通の病態シグナル伝達経路を明らかにするものである
|