本研究の実施中に、他のグループによってCi-VSPの細胞内領域のX線結晶構造解析により基質結合ポケットの大きさが異なる2つの構造が解かれた。基質結合部位の構造を規定する部分を含むgating loopと呼ばれる構造が、電位センサーと酵素間のリンカー部分PBMと相互作用して変化するモデルが提唱された。この場合、PBMと酵素ドメイン内が特定の構造を形成することで、酵素領域が電位センサーの構造変化によって制御される。もしそうであればVSPに固有のS4直下での構造変化でのみ酵素活性の調節が行われることとなる。どのような電位センサーの構造変化が酵素活性の活性化をもたらすのかを明らかにするため、魚類VSPの様々な電位センサーの変異体を作成した。その結果、S4に2点の変異を導入した分子が二段階で電位センサーが動き、中間状態を示すことを見出した。今後、電位センサーが中間状態をとるVSPにおいて様々な膜電位において酵素活性を定量することによって、酵素活性をOnにできる電位センサーの構造が一定であるのか、自由度があるのかを判定できる。
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