研究課題/領域番号 |
23650218
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
越久 仁敬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20252512)
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研究分担者 |
平田 豊 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10441247)
岡田 泰昌 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究センター), 内科, 医長 (80160688)
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キーワード | ニューロングリア相互作用 / カルシウムイメージング / 呼吸リズム生成機構 |
研究概要 |
呼吸リズムは、これまで脳幹内の興奮性および抑制性ニューロンから構成される神経回路網によって作られると考えられてきた。本研究では、この従来の呼吸リズム形成の概念に対して、グリア細胞が呼吸リズム形成を主導している、という新しい概念を検証する。呼吸リズム生成機構の中核であるpreBotzinger Complex(preBotC)を含み、吸息性活動を保持する脳幹スライス標本において、数百個単位のpreBotC細胞のCa動態を同時観測したところ、少数(約10%)ながら吸息性バースト活動よりも1-2秒先行してCa上昇を認めるグリア細胞(前吸息性アストロサイト)が認められた。これらの前吸息性アストロサイトは、TTXによる活動電位遮断下においても周期性のCaオシレーションを示したが、振動周期は延長した。また、preBotCのアストロサイトを選択的に興奮させたところ、吸息性ニューロンの発火が誘発された。この成果は、J. Physiol.に報告した。 前吸息性アストロサイトが積極的に呼吸リズム形成に関与しているかどうかを検討するには、ニューロンとグリア細胞の判別法を確立しなければならない。そこでGFAP-EGFPトランスジェニック(Tg)マウスを用いて、グリア細胞をEGFP蛍光で同定しつつ前吸息性アストロサイトのCa動態の特徴づけを行う予定であったが、繁殖に時間を要して実施できていない。また、GFAP制御下にCa感受性蛍光蛋白質(Case-12)を発現するTgマウスも作成中である。Wild動物を用いた検討では、赤色蛍光観測のためにビームコンバイナを導入し、Sulforhodamine 101に対する染色性を検討したが、延髄においてはグリア細胞特異的でないことが判明した。また、フェニレフリンに対する応答での判別も確実でなく、現在、高カリウム溶液に対する応答での判別ができないかデータ解析中である。
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