研究課題/領域番号 |
23650229
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
杉山 文博 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90226481)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ラット / ES細胞 / Nanog |
研究概要 |
ラットES細胞はその樹立が困難であったが、マウスES細胞研究の発達により複数の細胞内シグナル分子のインヒビターを用いることにより樹立が可能となってきた。しかし、ラットES細胞はマウスES細胞より倍加時間が遅く、形態や接着性等も異なり、ノックアウトラット作製のため生殖系列移行能力の高いES細胞樹立方法を更に検討する必要がある。そのためにも、ラットES細胞の未分化性を可視化できるES細胞の樹立は必須である。本計画は、ラット多能性幹細胞が可視化及び薬剤選別可能とするラットNanog遺伝子改変ラットを作製し、多能性幹細胞の可視化を初期胚から成体まで組織レベルで検討し、ラットNanog遺伝子発現を基盤とした可視化と薬剤選別を利用したES細胞樹立やキメララット作製方法の検討を行い、ノックアウトラット作製のため最適なラットES細胞生殖系列移行の環境を検討する挑戦的研究である。現在までに、(1)多能性細胞の可視化と薬剤選別可能なラットNanog/Venus-Purorを構築し、ラットNanog遺伝子改変ラットを作製に成功した。(2)ラットNanog遺伝子改変ラットにおける内在性Nanogと外来性ラットNanog/Venus-Puror遺伝子発現を初期胚及び成体まで組織レベルで比較検討し、初期胚においてNanog/ Venusの発現が多能性を有すると思われる組織において発現することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本計画は下記(1)~(4)となっている。(1)多能性細胞の可視化と薬剤選別可能なラットNanog/Venus-Purorを構築し、ラットNanog遺伝子改変ラットを作製する。(2)ラットNanog遺伝子改変ラットにおける内在性Nanogと外来性ラットNanog/Venus-Puror遺伝子発現を初期胚及び成体まで組織レベルで比較検討する。(3)ラットNanog遺伝子導入ラット胚盤胞を用いVenus及びPuror選別によるラットES細胞樹立と生殖系列移行を解析する。(4)(3)の培養条件およびキメラ胚作製方法を改変し、効率的な生殖系列移行ES細胞とキメララット作製方法を検討する。昨年度までに(1)~(2)まで終了しており、現在(3)を実施中であり、おおむね順調に計画が実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下の通りである。(1)ラットNanog遺伝子導入ラット胚盤胞を用いVenus及びPuror選別によるラットES細胞樹立と生殖系列移行を解析する。(2)前項で明らかとなった培養条件およびキメラ胚作製方法を改変し、効率的な生殖系列移行ES細胞とキメララット作製方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究はラットNanog遺伝子改変ラットのES細胞樹立と生殖移行解析であり、経費の多くは初期胚やES細胞培養、分子生物学的解析及びラット購入のための物品に使用される。さらに、複数ラインの遺伝子改変ラットを多数維持する必要があるため、筑波大学生命科学動物資源センターにて飼育維持することが必要となる。そこで、その他項目にラット飼育費を計上する。また、成果発表のための旅費および論文校閲のための謝金を計上する。
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