研究課題/領域番号 |
23650233
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前多 敬一郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30181580)
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研究分担者 |
平林 真澄 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 准教授 (20353435)
井上 直子 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90377789)
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キーワード | スンクス / 食虫目 / 遺伝子改変動物 / GnRH2 / iPS細胞 |
研究概要 |
本研究では、食虫目であるスンクスを用いて詳細な生理学的解析を可能にすることを目標に、1.全身性に蛍光物質Venusを発現した遺伝子改変動物の作出、2.GnRH2 遺伝子特異的にVenusを発現する遺伝子改変スンクスを作出することを目的としている。 1.全身性Venus遺伝子を発現するスンクスの作出 スンクス受精卵移植法の検討を行い、偽妊娠誘起法および胚移植法を確立することができた。そこで、サイトメガロウィルス由来のCMVエンハンサーに、chicken beta actinプロモーター、Venus遺伝子をつなげたコンストラクトをスンクス前核期胚に注入し、偽妊娠雌に移植を行ったが、現在のところ未だ産子は得られていない。前核期胚へ遺伝子導入するよりも効率良く遺伝子改変スンクスを作製するため、スンクスiPS細胞による遺伝子改変動物の作製を試みた。樹立したiPS細胞をスンクス胚盤胞に注入後、偽妊娠雌に移植し、キメラ形成能を検討したところ、胚の吸収痕は確認できたがキメラ胚は得られなかった。現在引き続き検討を行っている。 2.GnRH2 遺伝子特異的にVenusを発現する遺伝子改変スンクスの作出 本年度は、Genome Walking法によりスンクスGnRH2遺伝子のクローニングを進め、転写開始点より約5kbp上流のプロモーター領域を取得できた。現在ルシフェラーゼアッセイによるプロモーター解析を行っており、ターゲティングベクターの作製を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スンクスの胚移植法は確立できたが、過排卵誘起法が未だ確立できていないため、1匹の雌から数個の受精卵しか得られない。また、胚の体外培養に適した培地の検討を行っているが、いずれも胚発生が途中で停止してしまい、体外受精により受精卵を得ることもでず、十分な数の受精卵を実験に使用できないことが研究の進行の遅れにつながっていると考えられる。 スンクスは自家繁殖で維持している。最大限の飼育スペースを使って繁殖を行っているが、1頭あたりの産子数が3~4匹と少ないため実験に使用できる雌の数が不足しており、研究の進行の遅れにつながっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き前核期胚への遺伝子導入を行い、全身性Venus遺伝子を発現するスンクスの作製を試みる。また、iPS細胞による遺伝子改変動物の作出を検討するとともに、testis-mediated gene transfer(TMGT)法を用い、スンクス雄の精巣へ遺伝子導入を行い、全身性Venus遺伝子を発現する遺伝子改変動物の作出を試みる。 スンクスGnRH2遺伝子については、ルシフェラーゼアッセイによりプロモーター解析をすすめ、ターゲティングベクターの作製を行い、スンクス胚に導入してGnRH2特異的にVenus遺伝子が発現する遺伝子改変スンクスの作出を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
来年度は、研究計画や研究費の執行に大きな変更はなく、実験試薬類(麻酔薬、PCR用試薬、プライマー合成、チューブ・シャーレ類、胚培養試薬)の購入を行い、研究の推進を行う予定である。また、動物のエサ、床敷き、飼育ケージ、給水瓶の購入を行い、実験に使用する動物の増産を行う。
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