研究課題
ユーラシア大陸に普遍的なApodemus属を対象に、日本固有種A. speciosusと欧州種A. sylvaticusを中心標的に据えたバイオリソースの開発研究を継続した。前年度までの研究で人工繁殖が可能となったA. speciosusに関しては繁殖の効率化と生殖補助技術の開発に力を注ぎ、さらに他の野生種を標的としたリソース展開についても検討した。またA. sylvaticusに関してはヒト型脂質異常症を再現する小型実験動物開発をめざして、引き続きLDL蓄積型(ヒト型)高コレステロール血症の表現型解析と中心とした病態特性解析評価を進めた。【A. speciosus 】1)ストレスを軽減した室内繁殖法を開発し、野生由来個体から繁殖集団を立ち上げ、経代5世代まで集団を育成した。2)個体の繁殖生理状態を連続的に追跡するため、非侵襲的なホルモン測定法の開発を進め、繁殖期と非繁殖期の選別に目処が立った。3)オープンリソースとして学外機関への分与を開始し共同研究体制を確立した。4)野生種の保全と実験動物化を目指して稀少齧歯類の人工繁殖を試みた。【A. sylvaticus 】1)高コレステロール負荷とスタチン(ヒト用治療薬)投与による脂質成分の詳細解析を行った。2)高コレステロール個体の強制運動負荷試験を実施し、運動による血液性状の改善を検討するとともに、健常個体とのエネルギー収支バランスの差異を測定するため、自発活動量と代謝量を測定を測定した。3)肝臓のmRNAに着目し、次世代シーケンサーを用いてCETPの探索を含む脂質代謝関連酵素の網羅的な発現解析を行った。4)高コレステロール血症個体に併発するII型糖尿病様病態の分離を開始した。5)両種繁殖補助技術の開発を目的に、過排卵条件の再設定と受精卵の体外培養条の絞り込み、さらには胚の凍結特性を精査した。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件)
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