研究課題
【背景】ヒトにおいて白髪は加齢の象徴である。特に女性にとって、白髪は美容上の大問題となっている。一方、動物において、生下時の毛色は基本的に一生を通じて同じであり、加齢により毛色が変化することは稀である。ゆえに、ヒトと同じように加齢とともに少しずつ白髪が発症する動物モデルの報告は、世界的にみても極めて少ない。一方、白髪染めに対するアレルギーや発癌の危険性が報告されているにもかかわらず、これに代わる白髪予防剤・治療剤は存在しない。 【目的】本研究では、加齢とともに徐々に白髪を自然発症するオリジナルのモテルマウスを開発した。平成23年度は、本モデルマウスにおける白髪発症機構がヒトと類似しているかどうかを検討することを目的として、研究を遂行した。【結果】1)マウスにおける白髪毛疱の形態学的解析:開発された白髪モデルマウスを用い、白髪の毛疱メラノサイトを特異的に染色することに成功した。さらに、モデルマウスにおける毛疱メラノサイトの生存から、白髪発症機構について、ヒトの白髪との類似点性を考察した。2)皮膚におけるメラノサイトの形態学的解析:本モデルマウスと野生型マウスについて、皮膚全体におけるメラノサイトの数・分布・動態やメラニン産生能を形態学的に調べ、類似点および相違点を形態学的に明らかにした。3)白髪を誘発する機構の解析:メラノサイトの周辺環境に発現している分子を同定するとともに、これらの分子が白髪の発想に関与するかどうかについて検討した。さらに、メラノサイト自体に発現する分子を調べる作業を開始した。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要に示したように、挑戦的萌芽研究の申請書に記載した当初のH23年度の研究計画に沿って、モデルマウスを用いた白髪発症機構を解明し、特許や論文を公表できているので、順調にしていると言える。
挑戦的萌芽研究の申請書に記載したH23年度の研究計画に加えて、白髪の発症機構を解明するためには、メラノサイトだけでなく、メラノサイトを含む毛疱の細胞機能を解明することが必要であることが明らかになった。そこで、今後、これらの細胞における標的分子の発現レベルを解析する技術を完成させ、より多角的に白髪の発症機構の解析を進める。
現時点で、形態学的手法により、毛疱のメラノサイトにおける標的分子を定量する方法について、白髪モデルマウスを用いて検討を開始している。平成24年度は、形態学的手法のみならず、分子生物学的手法を含めた技術を応用しながら、標的分子の定量化技術を完成させ、さらに詳しく、白髪の発症機構を解析する。このために、消耗品を中心とする物品費や人件費・謝金等の使用を予定している。
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すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 17件) 学会発表 (2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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http://www.chubu.ac.jp/about/faculty/profile/588a920fe73a44df04e50c9c3eda630d04e09e86.html