研究課題/領域番号 |
23650241
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 昌志 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10281073)
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研究分担者 |
武田 湖州恵 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (80345884)
後藤 友二 中部大学, 生命健康科学部, 助手 (70362522)
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キーワード | モデル動物 / 加齢性白髪 / メラノサイト / 国際情報交換 / フランス / シンガポール / ドイツ / アメリカ |
研究概要 |
【目的】近年の遺伝子改変技術の進歩により、生下時の黒毛が白毛に変化するマウス樹立し、発症機構を解析した報告が、多くの国際科学誌に掲載されている。しかし、ヒトと同じように加齢とともに少しずつ白髪が発症するマウスの報告は、世界的に見ても極めて限られている。さらに、染毛剤によるアレルギー等の疾患誘導の可能性が報告されているにもかかわらず、これに代わる白髪予防剤・治療剤は存在しない。研究代表者らは、加齢とともに徐々に白髪を自然発症するオリジナルのモデルマウスを開発した。本研究では、本モデルマウスにおける白髪発症機構を解明し、ヒトの白髪との類似性を証明する。さらに、白髪発症の機構に基づく予防・治療剤の開発研究を推進する。 【結果】 1、平成23年度は、本モデルマウスにおける白髪発症機構がヒトと類似していることを形態学的に証明する研究を推進した。平成23年度の成果に基づき、平成24年度は、本白髪モデルマウスにおける白髪発症機構について、免疫組織染色のみならず、レーザーマイクロダイセクションを用いた定量PCR法で発現分子を解析し、白髪発症の分子機構を調べた。また、メラノサイトの機能について、白髪だけでなく、皮膚のメラノーマへの作用機構を調べた。 2、加齢および環境ストレスが白髪を誘発する機構について、培養細胞を用いた試験管レベルや白髪モデルマウスを用いた個体レベルで、分子生物学的手法やLC-ICP-MS等を用いた化学的手法を用いて解析した。 3、白髪を予防・治療できる化合物の候補を、培養細胞を用いて試験管レベルで選別する技術の開発をはじめた。 4、白髪関連遺伝子を標的にした遺伝子改変マウスを新規に樹立し、加齢による毛色の変化を観察する研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、平成24年度以降は、白髪発症にかかわる分子機構の解析、白髪発症機構を制御する遺伝子の探索、白髪の原因となる環境ストレスの解析、白髪予防・治療剤の探索等を推進する予定であった。平成24年度において、研究実績の概要に示したように、当初に計画した研究をほぼ達成できているので、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
挑戦的萌芽研究の申請書に記載した平成23年度の本研究において、白髪の発症機構を解明するためには、メラノサイトの研究に加えて、メラノサイト以外の細胞の作用を解明することも、重要である可能性がでてきた。さらに、平成24年度の本研究では、マウスを用いた個体レベルのみの検討では、上記の作用を解析することが難しい可能性があることが判明した。そこで、平成25年度は、メラノサイトおよびメラノサイト以外の細胞における作用の分子機構について、培養細胞を用いて試験管内でも解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、白髪モデルマウスにおける白髪発症機構について、個体レベルだけでなく、細胞レベルの解析結果を加え、より緻密かつ詳細に解析する。さらに、試験管レベルで白髪予防・治療の効果を示した薬物がみつかれば、白髪モデルマウスを用いて個体レベルで解析する。また、研究最終年度として、白髪モデルマウスにおける白髪発症機構と予防・治療剤の開発についての成果をまとめ、質の高い国際科学雑誌に公表することをめざす。このために、物品費、研究補助員等の人件費、英文校正料等の謝金、学会発表・研究打合せ・情報交換のための旅費、マウス飼育・管理費等のその他の経費を使用する予定である。
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