研究課題/領域番号 |
23650246
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
太田 聡史 独立行政法人理化学研究所, 情報解析技術室, 専任研究員 (30391890)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 生体力学 / セグメンテーション |
研究概要 |
【 運動機能の計測法の改良と逆運動学解析】従来よりも数の多い光学反射マーカーを実験用マウスの皮膚に装着し、高性能な汎用モーションキャプチャシステムを用いて、神経運動学的データを取得することに成功した。マウス全身の骨格モデルとインハウスの逆運動学解析環境を用いて、マウスの歩行における関節角度を推定した。マウスに装着できる光学反射マーカーの数を増やすため、小型光学反射マーカーの開発に着手した。【 実験用マウスの骨格モデルの開発】マウスの行動異常を調べるためには、前提知識なしに各個体の骨格を軟骨の形状も含め正確にモデルに反映する必要がある。つまり、ある標準的なテンプレートを一般的なセグメンテーションに用いることは、適切ではない。テンプレートなしの正確なセグメンテーションを実現するため、X線CTスキャンで取得したマウス骨格のボリュームデータの構造解析を行うことで、半自動的にセグメンテーションを行う技術を開発した。【 相互マッピングに向けての準備】ヒト筋骨格モデルから骨格・腱・筋肉の相互関係(トポロジー)を抽出し表示するするソフトウェアを開発した。相互マッピングを実現するため、ヒト下肢の代表的な筋肉に投射する抹消神経と、筋骨格の関係を文献より調べた。ヒト神経筋骨格モデルのデータをもとに推定した筋腱パスを、マウス全身の骨格モデルにマッピングすることで実装した。この粗粒度モデルと上記の方法で推定した関節角度を使って、いくつかの筋腱パス長の変化を推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【 運動機能の計測法の改良と逆運動学解析】本研究ではヒトとの生体力学的比較解析を目指している。運動データの粒度はヒトに近い程望ましいと言える。従来においては、マーカーの大きさや重さの制限の他に、カメラの解像度の制約からあまりマーカーの数を増やすことができなかった。例えば全身のデータでは肘・膝下の運動データを得ることはできなかった。本研究では、高性能のカメラを用いるとともに、マーカーの装着法に工夫を加えることで、従来よりも情報量の多い歩行データの取得に成功した。【 実験用マウスの骨格モデルの開発】相互マッピングにおいては、まずヒトと同程度の粒度を持つ骨格モデルがあることが大前提である。しかし、十分に確立されたマウスの骨格モデルはいまだ開発されていない。われわれは独自の方法でマウスの骨格モデルを開発したが、これはまだ1個体分である。個体数を増やすことは、非常に労力を必要とするセグメンテーションの作業を繰り返す必要のあることを意味する。われわれは物理ベースイメージングという新しい概念を提唱し、構造解析によってセグメンテーションを半自動的に行う方法を開発した。【 相互マッピングに向けての準備】正しい相互マッピングには、十分かつ正確な解剖学的な知識を用いることが必須である。機能解剖学的観点から、われわれは対象となる骨格・腱・筋肉の相互関係(トポロジー)を抽出し表示するするソフトウェアを開発することで、必要な関連知識の整理を始めた。これからの相互マッピングの準備行い、さらにヒト下肢の代表的な筋肉に投射する抹消神経と、筋骨格の関係を文献調査することで、一種のグラフ構造で扱うことができた。さらに、ヒト神経筋骨格モデルのデータをもとに推定した筋腱パスを、マウス全身の骨格モデルにマッピングすることで実装したが、これは今後実施する相互マッピングのプロトタイプとして重要な意味を持つものである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては、主に、開発したマウス後肢の粗粒度筋骨格モデルの検証および改良を行う。別プロジェクトで採取したマウスの筋骨格の解剖学的データを用いて、この粗粒度骨格モデルの検証と改良を行う。そのためにデータを定量的に処理するためのアルゴリズムとソフトウェアを開発する。特に、(1)筋腱パスと骨格の接着面(点)の推定と(2)筋腱パス経由点の推定を重点的に行う。この結果を検討して、必要であれば相互マッピングに用いる特徴点(ランドマーク)に対して再検討を行う。さらに、以下の項目について優先度を考慮しつつ実施する:(1)マウスの運動データの計測を行うためのプロトコルの再検討を行う。特に小型光学反射マーカーの開発を行う;(2)歩行測定に用いるアリーナの改良を行う;(3)限られた数のマーカーを用いた逆運動学解析の方法について再検討をする;(4)動力学計算に向けて、必要な情報の取得を行う(解析的なアプローチによる質量推定など)。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては、次年度前半までに得られた成果の発表に係る経費を念頭に置きつつ、効率よいソフトウェアの開発を実現するため比較的高速なコンピューターの購入と、現有の運動機能計測装置と相補的に用いるための、高機能な汎用カメラの購入を検討する。また、データを加工・整理するための謝金に予算の一部を充てる。なお、H23年度に未使用額は、データ処理に係る謝金に充てる予定であったが、担当者の一身上の理由により作業が困難になったため、データ処理の計画を見直したためである。なお、このことによる研究計画への影響は、限定的なものである。
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