研究課題/領域番号 |
23650260
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒木 勉 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50136214)
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研究分担者 |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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キーワード | 老化 / 蛍光 / コラーゲン / 分子間架橋 / 象牙質 / 皮膚 |
研究概要 |
歳をとると皮膚の張りの低下、水晶体の黄濁、動脈の硬化、骨密度が低下しないのに骨折しやすいなどの症状が現われるが、これにはコラーゲンが大きく関与している。骨を例にとれば、骨のコラーゲン線維が血糖の働きで非酵素的なメイラード反応を起こした結果、Advanced Glycation Endproducts(AGE)と呼ばれる分子間架橋が形成され、ヤング率が増加したことが易骨折の原因である。皮膚の硬化、血管の脆性増大も同様な反応が一因である。したがってコラーゲン量と同時にその質的な変化をモニターできれば老化の指標が得られ、病変予知にもつながる。そこで生体組織にパルスレーザー光を照射し、得られる第二高調波発生光(SHG光)とナノ秒蛍光をもとにコラーゲンの量的・質的変化の情報を取得し、老化の指標を得ることが本研究の目的である。 SHG光計測による皮膚コラーゲンイメージングについては計測手法が軌道に乗り、様々な年齢層の真皮データを取得したので、これをまとめて報告した。そこでは主にコラーゲン量情報が得られているが、蛍光計測によってコラーゲンの架橋情報取得が必要である点を明記した。そこで、ナノ秒蛍光によってAGE生成情報が取得できるのか、またAGEによる分子間架橋が本当にコラーゲン組織の機械的特性を変化させるのかを、象牙質をモデルにして考察した。その結果、加齢によって象牙質コラーゲンの硬さが増すことを確認した。さらにはこのようなAGEと蛍光特性とに強い相関があることがわかり、蛍光が老化指標として使用できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初申請は2年計画であったが、さらなる考察を行うため、一部資金を残して数ヶ月の研究延長を行った。しかし、研究自体は順調に進行しており、若干の実験を追加した上で、2年の研究期間で得られた結果をまとめ論文発表や学会発表を行なう。
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今後の研究の推進方策 |
研究の途中で、さらに詳しい老化情報を得るためには光学的な計測だけでは不十分であり、生化学的計測を付加する必要があるとの結論を得て、その実験に着手した。そのための資金を残して研究延長を行った。今後は上記のように免疫染色を中心にした生化学的調査を進め、成果を各学会にて発表するとともに、論文として報告したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
生体試料処理のための各種試薬(おもに抗体)購入費と、成果発表のための旅費ならびに論文校閲費に使用する。
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