研究課題
オーバーハウザー効果MRI(OMRI)は電子スピンからプロトンへのエネルギー遷移により核磁気共鳴信号を数十~数百倍にも増強する新しい画像診断法である。23年度から24年度まで、腫瘍に集積する性質を持つ枝分かれ状高分子(デンドリマー)にOMRIの造影剤となるニトロキシラジカル基を修飾し、これが腫瘍に集積することを明らかにした。また、腫瘍特異的に発現しているプロテアーゼの基質となるペプチドを組み合わせて、腫瘍のみでOMRIシグナルが増強するシステムを構築した。しかし、ニトロキシラジカル基がマウス血中において速やかに還元され、造影能が速やかに(半減期約15分)失われることが明らかになった。そこで、従来利用していたテトラメチルを有するニトロキシラジカル(TEMPO)基を、還元耐性をもつテトラエチル基を有するニトロキシラジカル(TEEPO)基に変更した。その結果、血中において1時間以上の耐性が認められ、また、腫瘍内での造影能も観察された。また、プロテアーゼに応答する分子の大量合成にも成功し、プロテアーゼ活性に応答したOMRIシグナルの変化も観察できた。この技術は腫瘍を選択的に造影する技術の基盤となるものであり、さらに分子構造を最適化することにより、OMRIでの腫瘍の診断あるいは治療後の予後の追跡に有効な造影剤となることが期待される。
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