研究課題/領域番号 |
23650277
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
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研究分担者 |
橋本 謙 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80341080)
氏原 嘉洋 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80610021)
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キーワード | X線位相差CT / 濃度勾配 / 水晶体 / 心臓 / 可視化 |
研究概要 |
生体は骨のようにX線吸収率が高い組織と筋肉や血液などX線吸収率の低い組織から成り、この違いを利用して臨床医学においてもコンピュータ断層撮影(CT)は有用な診断技術として広く利用されている。一方、炭素、水素、窒素、酸素などから成る軟部組織の画像は、造影剤を用いた血管構造の画像化は可能なものの組織内の構造を描出することは出来ない。今回の研究開発では、X線が物質を透過する際に生じる位相のシフトを検出する位相差CTを動物検体に適用し、生体組織の微細構造を組織の密度差を数値化/画像化してその有用性を確認した。具体的には大型放射光施設SPring-8においてTalbot型干渉計を用いた位相差CT装置を組み立て、X線エネルギー15keV、X線プロジェクションイメージは phospher スクリーンと中継レンズを組み合わせた冷却CCD検出器を用いて記録した。純水、生理食塩水と更に3点の濃度の食塩水にて密度のキャリブレーションを行った。撮影はパラホルムアルデヒドにて固定したマウス摘出眼球(生後1週齢、2週齢、4週齢、8週齢、)、および固定無しの生後8週齢のマウス摘出眼球を用いた。生後週齢による水晶体内部のタンパク(クリスタリン)濃度勾配の変化を位置情報も含めて評価することが出来た。生後1週では中心の高濃度部位と周辺部の低濃度部位、そしてその中間の濃度勾配のある部分が観察された。成長に伴って水晶体密度は増加し、成体では中心部付近の勾配は緩やかで、新たに水晶体線維細胞が加わっている周辺部では濃度勾配が急峻であることがわかった。また、ラットおよびカエルの摘出心臓も撮影し冠血管を持たないカエルのスポンジ状心室壁構造を画像化する事が出来た。心筋細胞は収縮タンパク:ミオシン・アクチンを高濃度に含んでいるが、ポンプ機能が格段に高いラットの心臓の方が密度が高い事が明らかになった。
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