研究課題
本研究では、骨折固定の初期に高い弾性率を保持し、固定時間の増加とともに弾性率が漸減して骨と同等の弾性率へと変化する「弾性率漸減型インテリジェント骨固定材」を開発し、弾性率が漸減可能であるかを確認する。その上で得られた弾性率や弾性率減少速度を試料作製プロセスにフィードバックし、弾性率の制御を試みる。レーザー積層造形法により骨と同程度の弾性率を持つコバルトクロム(Co-Cr)合金多孔体を作製し、気孔にハイドロキシアパタイト(HAp)を導入した複合材料の作製した。3軸に直交する円柱形状の気孔を導入した多孔体モデルを作成し、これをレーザー積層造形装置により作製した。レーザー出力150W,スキャン間隔0.2mm、積層厚さ0.05mmの条件で積層造形を行った。その結果、42.8%から62.1%の気孔率を有する三次元連通孔型の多孔体を作製できた。走査速度が速いほど積層造形体に存在する気孔率が大きくなる傾向があった。気孔率62.1 %を有するCo-Cr合金の弾性率は28.2 GPaを示し、皮質骨と同程度まで弾性率を低減させることができた。得られた多孔体のポアチャネル内部にHApスラリーを注入し、1100 ℃,1 時間保持の条件で真空焼結を行い、Co-Cr合金多孔体/HAp複合材料を得た。本複合材料の弾性率は、複合化前と比較して上昇が確認され、特に多孔体の気孔率が42.6 %, 49.9 %の条件では,ヤング率は50~60 GPaを示し、βチタンと同等の値となった。以上より、レーザー積層造形法によって作製したCo-Cr合金多孔体にHApを複合化させることにより弾性率を上昇させることに成功した。
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Journal of the Mechanical Behavior of Biomedical Materials
巻: 21 ページ: 67-76
10.1016/j.jmbbm.2013.01.021