H25年度の研究では、「新規未分化能維持培地の実証」を目標としながら次の2つの項目に関しての開発研究を行った。 ①12ロットの間葉系幹細胞に対して骨、脂肪、神経分化培養を3継代のストレスにわけて行い、約36ロット分の細胞株側の性質を変化させながら、途中の画像データの取得と分化培養傾向の画像での比較を行った。画像情報は約2万枚の位相差顕微鏡画像を取得し、これをH23-24年度に構築してきた解析アルゴリズムを用いて状況の分類等を行いどのような培地と細胞品質の組合せが、どのような形態をもたらすのかを検証した。 ②3ロットの間葉系幹細胞株に対しての6種類の脂肪分化途中に対する添加因子の検証とその形態画像的な解析評価を行った。この結果、いくつかのカスケード阻害剤において細胞形態からその影響を事前に評価できるだけではなく、分化効果をポジティブまたはネガティブに調節できるものを発見した。当初想定していた単純な制御因子は6種類の中からは見つからなかったが、6種類が制御するカスケードの調節が有効であることが発見され、培地成分の探索として評価すべき項目が明確に絞り込まれた。 申請時の目標では分化培養の培地検討は複数の分化傾向を検証するものであったがH23-24年度の検証結果よりも、培地条件を振りすぎるとアルゴリズム的に精度が担保されないケースがあることがわかってきていたため、細胞株のバリエーションを増やす実験と有効因子探索の検証へと実験を分けて行い、どちらも豊富な画像データと品質バリエーションの組合せが、画像情報で分類・評価することができ、本研究の大きな目標であった培地の評価開発へ有効であることを示すことができた。
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