研究課題/領域番号 |
23650287
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬場 耕一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師(常勤) (00436172)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 薬物伝達システム |
研究概要 |
[研究の目的]:従来のドラッグデリバリーシステム(DDS)と一線を画す、全く新しい手法・概念に基づいた有機ナノ結晶を用いた新規DDSの開発を目指しその基礎研究に取り組む。[研究実施計画:平成23年度]: 有機ナノ結晶型DDSにおける有機ナノ結晶と血清タンパク質の相互作用について影響を与えると推測される、「結晶サイズ」・「結晶中の分子間結合力」・「分子の官能基」に注目し、特に有機ナノ結晶のタンパク質への溶解における関係性を明らかにする。より具体的には、(1) 蛍光性有機化合物の結晶を種類別(分子間結合力・官能基別)に分類・選択し、再沈法によりナノ結晶化する。結晶サイズを制御する(サイズ10nm-1μm程度)。(2) 結晶サイズ・結晶中の分子間結合力・分子の官能基と血清への溶解性の関係を解明し、特にナノ結晶が溶解する血清成分中のタンパク質を電気泳動等により特定。[H23年度に実施した研究の成果]:構造的に様々に異なる有機色素に対しナノ結晶化とサイズ制御を行った結果、結晶サイズ10nm-1μm程度の範囲において結晶サイズを制御する条件を見出し結晶サイズを制御することに成功した。有機ナノ結晶のタンパク質への溶解について様々な有機色素ナノ結晶が血清成分と作用することで分子的な蛍光を発することを見出した。引き続き電気泳動等を用いて詳細を検討中である。H23年度に購入した高速クロマトグラフ(HPLC)により有機ナノ結晶水分散液から分子濃度を定量的に評価する方法を検討した結果、定量法を確認できH24年度の研究実施への準備を整えた。また先駆的な位置づけとなる有機ナノ結晶を用いた一分子イメージングの可能性について言及した学術論文を発表(受理済み)。有機ナノ結晶を用いたドラッグデリバリーシステムの新展開について講演した(招待講演2つ)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H23年度の目標である、(1)有機ナノ結晶の結晶サイズ制御については様々な種類の有機化合物に対するナノ結晶化と結晶サイズを10nm-1μmの範囲で制御することに成功した。また(2)有機ナノ結晶と血清成分の相互作用については様々な有機ナノ結晶において相互作用する現象がみられることを認めてきており電気泳動等を用いた評価により明らかにしつつある。以上によりH23年度の研究目的の達成に対しおおむね順調に進展していると評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
(平成24年度の研究目標): 有機ナノ結晶の体内分布を、実験動物を用いて明らかにする。研究を総括し有機ナノ結晶型DDSを知識体系化する。より具体的には、(1) 蛍光性有機ナノ結晶の体内分布(動物実験)をHPLCによる定量分析で解明し、(2) 研究を総括し有機ナノ結晶型DDSを知識体系化する。またH23年度の研究課題を引き続き遂行することで基礎的データの蓄積を行いH24年度の研究推進を確かなものにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
おおむね実験動物の購入、実験試薬等の購入および学会発表旅費等に研究費を使用予定である。学会発表では有機ナノ結晶型ドラッグデリバリーシステムの新しい有用性について報告する予定である。
|