研究課題/領域番号 |
23650296
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
萩原 義久 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (50357761)
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研究分担者 |
中島 芳浩 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (10291080)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | iPS細胞 / リプログラミング因子 / 生物発光 / ペプチド / 蛋白質導入 / 蛋白質工学 / 転写因子 |
研究概要 |
1)新規発光モニター系による蛋白質導入および転写活性化の効率化: リプログラミング因子を大腸菌で発現、精製、ポリカチオン化することで、高濃度の可溶性蛋白質を得た。一方、評価用発光細胞として、応答配列、TKプロモーターおよび緑色発光ルシフェラーゼを連結したカセットを、マウス繊維芽細胞のゲノムに挿入した安定細胞株を樹立した。続いてカチオン化リプログラミング因子を安定細胞株の培養液に添加し、発光をリアルタイムに測定したところ、濃度依存的な発光の増加が認められたことから、精製リプログラミング因子により標的遺伝子が活性化されたことが確認された。2)精製転写因子の細胞質ー核移行を促進する改変ハチ毒ペプチドの開発: 当初の計画にあった変異メリチンペプチド(GIGAVLHVLTTGLPALISWIHHHHQQ-NH2)を固相合成法により作製した。円偏光二色性を用いて二次構造のpH応答性を調べたところ、アルカリ性では当初期待していたα-ヘリックスではなくβ-シート構造を有することが示唆された。そのため、ヒスチジンの個数の異なる複数のペプチドを新たに合成、精製し、その中から酸性ではヘリックス構造を有さないが、中性領域ではヘリックスを形成する、則ち研究計画で想定した挙動を示す変異ペプチドを得ることに成功した。さらに動物培養細胞を用いた実験を行い、このペプチドは生理的条件下では天然型メリチンに比較して細胞毒性が低下していることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず精製リプログラミング因子の細胞導入アッセイに必要な新規発光モニター系は準備が終了し、また細胞導入効率化が期待されるハチ毒ペプチドも完成しており、概ね順調に推移していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に開発した変異ハチ毒ペプチドと発光モニター系の開発を続けると共に、これらを利用して実際にリプログラミング因子の細胞内移行が進むのかを確認、精製蛋白質によるiPS細胞樹立の可否を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ペプチドの性状解析や細胞アッセイに必要である消耗品費、及びそれら実験を補助する実験補助者の人件費に主として研究費を使用する。
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