研究課題/領域番号 |
23650297
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
清水 孝一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (30125322)
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研究分担者 |
加藤 祐次 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (50261582)
工藤 信樹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30271638)
浪田 健 北海道大学, 情報科学研究科, その他 (10571250)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 散乱 / 分光 / 生体組織 / 無侵襲計測 / スペクトル計測 / 局所計測 / 逆散乱問題 / 吸収係数 |
研究概要 |
本研究は、これまで実現が困難であった強い散乱体内部局所領域の選択的分光の実現を目的とするものである。とくに生体組織への適用をめざし、体表からの正確な無侵襲計測、および介在組織の影響を排除した体表からの組織スペクトル計測の可能性を拓くことを具体的目的とする。2年間の研究により、着想を計測法として具現化するとともに、理論解析やシミュレーションにより最適化された計測システムを開発し、動物実験によりその可能性や実用性を具体的に実証するところまでを本研究の範囲とする。 平成23年度の実績は、次のように要約される。1.理論解析により、着想を具現化するための基本的計測方法、計測条件、計測範囲などを明確化した。とくに、輸送方程式からスタートし、拡散近似を用いた散乱体内部光伝搬の式から、反射型で得られる光インパルス応答および散乱体内部伝搬領域の時間変化を定式化した。また、理論モデルをもとに、必要とされる入射光量、検出感度、計測系のSN比、計測可能深さ等の解析を行った。2.理論解析の結果をもとにシミュレーションを行い、計測対象および所要計測範囲に対する最適化を試みた。とくに、輸送方程式の拡散近似を基本とした理論モデルをもとに、生体内部局所領域分光を模擬するシミュレーションプログラムを開発した。また、モンテカルロシミュレーションとの比較を通し、開発プログラムの正確さを検証した。3.これらの解析をとおし、開発すべき計測システムの具体的設計指針が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度実施計画は、つぎのとおりであった。1.理論解析により、着想を具現化するための基本的計測方法、計測条件、計測範囲などを明確化する。2.理論解析の結果をもとにシミュレーションを行い、計測対象および所要計測範囲に対する最適化を行う。 これらを予定どおり達成し、開発すべき計測システムの具体的設計指針が得られたことから、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり、次のように本研究を推進する。1.前年度の理論解析およびシミュレーションの結果を踏まえ、生体内部局所領域分光システムを開発する。2.多層構造より成る生体組織モデルファントムを作成し、局所領域分光の精度や空間分解能を評価する。また、計測ノイズに対する逆問題解の安定性や再現性も評価する。3.評価結果に基づき、必要に応じ局所領域分光システムの設計値を見直し、実用条件におけるシステムの最適化を図る。4.「新原理による体表からの生体内部局所領域分光計測の実現」について、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画における次年度の研究活動に使用する。また、初年度に経費節約および効率的使用により生じた残額については、次年度の物品費および国際会議発表等の研究活動に使用する。平成23年度から24年度にかけて(平成24年3月26日から4月1日まで)実施した国際会議発表のための支払いに使用する。
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