研究課題/領域番号 |
23650300
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
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研究分担者 |
金井 浩 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10185895)
早瀬 敏幸 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30135313)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 高周波数超音波 / サイトメトリー / マイクロ流路 / ニューラルネットワーク |
研究概要 |
本研究の目的は、流体中に分散させた微粒子を細い流路内に流す際に120MHz の高周波数超音波を照射し、その反射スペクトルの形状をニューラルネットワークの手法で解析することで、微粒子の大きさや内部構造の複雑さを解析するソノサイトメトリーのプロトタイプを作製し、原理の確認を行うことと、既存のフローサイトメーターと比較することで本システムの計測精度を実証し、生体内の血流・リンパ流を応用した生体内ソノサイトメトリーの実現性について検討することである。 平成23年度には、ソノサイトメトリー用のマイクロ流路作製および高周波数超音波計測システムの構築に主眼を置いた研究を行った。 3本の流路を1本に合流させるようなマイクロ流路を作製し、3台のマイクロシリンジポンプによって、中央から細胞に相当するポリスチレン微粒子を含む液体、両脇から微粒子を含まないシースフローを流し、マイクロ流路の上方に設置した高速CCD カメラで微粒子を含む液体の挙動を観察し、3台のマイクロ輸液ポンプの最適な流量を決定した。 中心周波数120 MHz、直径2.4 mm、焦点距離3.2 mm のPVDF 製の凹面超音波振動子を、流路にほぼ30 度の角度で設置し、作製したマイクロ流路の中央に焦点が一致するように固定する。超音波振動子にパルス幅100 ps、電圧50 V、繰り返し周波数3000 Hz の電気パルスを入力し、高周波数超音波を発生させ、デジタルオシロスコープにより超音波信号が取得できていることを確認した。 また、超音波信号の周波数解析およびニューラルネットワーク解析の手法を検討し、GPUに適した並列計算法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災により研究室が被災し、仮研究室への移転を余儀なくされたが、移転計画が当初の平成23年9月から平成24年1月に順延となったために、マイクロ流路やCCDカメラおよび高周波数超音波振動子のセッティングなど、静かな計測環境が必要な実験が平成24年1月まで遂行できなかった。このため、実際のマイクロ流路から取得した超音波信号の周波数解析やニューラルネットワーク解析には至らなかった。 しかし、解析手法についての研究は進捗しており、平成24年度には当初の最終目標を達成できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究の遅延により、実際のマイクロ流路からの超音波信号取得は遅れたが、これまでの高周波数超音波研究のノウハウがあるので、平成24年6月までには平成23年度に予定していた研究内容は実施可能である。信号の解析手法について平成23年度にGPUによる並列計算アルゴリズムを確立しており、平成24年度には当初の最終目標を達成できる見込みである。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の研究費残額は、当初計画していた実際のマイクロ流路からの超音波信号の周波数解析やニューラルネットワーク解析を次年度に延期することによって生じたものであり、延期した信号解析に関する研究に必要な経費として平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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