研究課題/領域番号 |
23650302
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大江 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40221121)
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キーワード | 医療情報システム / 電子カルテ / 類似検索 / 診療意思決定支援 |
研究概要 |
構築された東大病院の診療情報データベースのSS-MIX Ver2形式のデータストレージをもとにして類似症例抽出のためのパターン分析を行った。その結果得られた症例抽出パターンを実時間で実現することを検証するため、ビッグデータ研究者に依頼してRDBに展開して並列計算機上でデータ抽出を試みたところ、数秒での検索が可能であることが判明した。これをもとに、次年度に向けて実用的な抽出条件の設定を行う。一方、オントロジーを活用した意味的な類似性を検索する自然言語処理ベースのデータ抽出システムの骨格部分を設計した。また、実際の直面する患者の症状所見や検査結果の定性的な表現を収集し、これを自動的に現在の電子カルテシステムの当該症例記載から取得して、検索条件式に埋め込む方法を検討した。次に検索条件式中に検索値として使用される医薬品情報、検査項目情報、疾患情報の標準的なパラメータ値を既存のデータベースから選択して指定する上での課題を検討するため、メタデータベースであるKEGGを使用契約し、このデータを利用した検索条件値への設定する機能の設計を行った。次年度は以上の成果をふまえて統合検索・抽出システムとその可視化を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度終了時点で今年度の主たる目標として、類似症例の実時間検索の可能性を検証することを挙げていたが、これについて実データにもとづく実証試験でほぼその見通しができ、また具体的な条件設定に使う変数の定性的な値の設定方法について方針がたったことから、研究はおおむね順調に進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向けて、自然言語処理による類似症例の抽出、検査結果、処方、病名、治療等のコード化データによる複合条件による類似症例の抽出、抽出された既存症例の直面する症例の類似性と相違性の可視化を行うことにより、医療データベースの集合知としての価値の評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
基本的な設計と実証実験について、既存システムと既存データベースにより実施することを優先する方針とし、方針を固めてから最終年度に大規模データベース化とその実証システムの開発研究して評価する方針としたため、当初計画よりも今年度までの研究費の使用が少なくし、次年度使用額にまわす額を増やすこととした。次年度はこの方針にもとづき、ほぼ固まった設計にもとづいて実証評価のために開発経費、データ収集・整理の経費に充当する予定である。
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