組織や臓器の凍結解凍の新技術として、電磁誘導を利用した『組織と臓器の超速解凍法』を考案し、それを試行し実証することを目指して研究を進めた。以下のサブテーマを設定し、研究を実施した。 ①凍結過程の評価システムの整備:当初の高速ビデオカメラを用いた自作装置を改良して、温度を計測できるようにし、また温度制御ができる装置に改良した。また、光源も、LED照明を導入して、熱がかからない装置になった。しかし、導入した冷却装置は予想外に振動が激しく、顕微鏡観察ができないという問題が生じ、装置の冷却システムの見直しを行い、他の研究費を利用して、継続して装置の改良を進めていくこととする。また、温度計測については、温度分布の計測の必要性を認め、計測できる方法を探しているが、研究要素が高いことが分かった。継続して探究していく。 ②人工赤血球の開発研究:金属粒子入りの人工赤血球の開発研究:微粒子作製技術より、赤血球サイズの微粒子が作れる世になったので、金属粒子入りで微粒子を作製した。しかし、実際に実験に使う場合には、大量の微粒子が必要で、微粒子を量産できる装置を開発していく計画である。 ③電磁誘導装置の作製:基礎実験用の電磁誘導装置の試作:市販の電磁調理器の部品を流用して、装置を作製した。断線等のトラブルに悩まされながらマグネタイトナノ粒子、鉄粉等で実験を行ったが、電磁誘導による温度上昇を認めることができなかった。原因はいろいろ考えられるが、通常の電磁調理器は鍋の加熱用に特化させており、マグネタイト微粒子への電磁発熱とは根本的に適正周波数が大きく異なることが考えられた。マグネタイト微粒子用の本格的な温熱療法の装置を用いる必要性が認められ、装置企業との産学連携を実現させることを試みたい。まだ、本質的な微粒子加熱が実現できていない状況であるので、それ以降の計画は進んでいないが、継続して挑戦をしていきたい。
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