研究課題/領域番号 |
23650316
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 信芳 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50463790)
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研究分担者 |
上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698)
大槻 久美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (80546341)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 造血幹細胞移植 / 自主トレーニング / QOL |
研究概要 |
造血幹細胞移植目的に入院した患者の中で運動療法が禁忌でない患者に、運動療法を説明、紹介しリハビリテーションを行った。あわせてQOL評価および心肺運動負荷試験の目的、方法を説明、同意を得た患者に対して運動療法および各種評価を行った。運動療法として移植前には全身のコンディショニング、歩行運動、自転車エルゴメーター運動、抵抗運動など筋力トレーニングを行った。移植前後の無菌室入室中は離床、室内歩行、抵抗運動など筋力トレーニングを中心に、無菌室退室後は歩行運動、自転車エルゴメーター運動を中心に行った。運動療法はトレッドミル(聖マリアンナ医科大学のプロトコール)による心肺運動負荷試験の結果に基づき、筋力評価の結果も参考にして、無菌室入室前および退室後は理学療法士の監視下に、無菌室入室中は移植前の理学療法士の指導に基づき自主トレーニングを行った。評価は移植前と、一般病床に転室後の移植後40日前後、およびおおむね移植3ヵ月後の外来通院時の3回を目安にQOL評価、身体機能評価を行った。患者は入院中は歩数計を装着し、体重、血圧、脈拍、体温と共に歩数を記録票に記載した。出血傾向のある患者や、易感染性のある患者が多く、震災後は転倒、受傷に対する配慮が病棟にて強く意識され、その結果として自転車エルゴメーターなどの機器を用いた運動療法は理学療法士監視下のみで行われるようになり、また歩行運動等への積極的な促しも減った。また、震災後一時移植を行えない時期があり、待機期間が長期化した。その結果、コンディションの悪い患者も増えたことも重なり、調査への協力が得られにくくなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
入院病棟の安全管理上の配慮が重要性を増し、転倒時の重症化リスク軽減のため機器を用いた運動への抵抗が生じている。理学療法士監視下であれば可能であるが自主トレーニングとしては自転車エルゴメーターでの運動が行えず、自主トレーニングの運動種目が減った。患者のリハビリテーションに対する意欲も低下し、あるいは歩行運動であればリハビリテーション以外で自分で十分に行えるという理由から、脱落する症例もあった。リハビリテーションは行うが、調査への協力を拒否されるケースも出るようになったため、サンプル数が集まらなくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
科研費の申請時点では3台の自転車エルゴメーターを病棟に配置する予定であった。しかしながら請求額が満額でおりなかったため、台数を減らして交付申請を行った。当初執行総額の制限もありうると説明を受け、開始が遅れ、その間に病棟での体制も固まり、結局自転車エルゴメーターの導入は1台となった。ただし、機器を用いた自主トレーニングがすすめられない状態となり、現在理学療法士の監視下のみでの自転車エルゴメーター運動となっているため、台数は足りている。そのほか、移植の制限があったことも開始が遅れる理由となった。次年度に使用する予算額のが生じるにいたった。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の目的に沿って、自主トレーニングの機会を増やす方向で検討している。ダイナミックな運動が行えない患者に対して、ベッド上でも行える手指訓練器を導入することを検討している。またそれに応じた評価も行う。研究への協力の拒否に関しては、環境が整うことにより改善することも期待されるが、更に評価の簡便化など考慮する。具体的には、移植3ヵ月後の評価を聞き取り調査のみにするなどが考えられる。
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