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2012 年度 実績報告書

薄暗い視覚環境下での姿勢調節機構の低下の解析と臨床評価指標の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23650321
研究機関名古屋大学

研究代表者

内山 靖  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90302489)

キーワード姿勢調節 / 照度環境 / 理学療法 / 前庭刺激
研究概要

薄暗い視覚環境下での姿勢調節機構を明らかにすることを目的に、次の研究を実施した。
健常人を対象に500~0 lxまでの照度の異なる視覚環境下で、静的姿勢保持ならびに段差の昇降を行った。その結果、5 lx以下の暗所ならびに遮眼では姿勢調節の緻密さを示す単位面積軌跡長は有意に低下していた。また、0 lxの開眼では暗所遮眼に比べて調節機構が有意に低下していた。さらに、徐々に照度を下げていった際には、1 lxでの姿勢が最も不安定で0 lxではむしろ安定した。段差昇降では、1 lxでの降段動作で姿勢の安定性が最も低下していた。
平地歩行において、視覚環境が歩行に及ぼす影響を検討した。その結果、薄暗い視覚環境(1-30 lx)では、明所(通常の照度下)に比べて歩行速度が有意に低下していた。また、障害物がある場合には、明所および薄暗い視覚環境下では直前の1歩を増加することで障害物を跨いだが、暗所では数歩前から歩幅を減少させて調節していた。これらの結果から、薄暗い視覚環境下では、視認性が低下しているにもかかわらず、明所下と同様の歩行戦略を選択しているために躓きや転倒のリスクが高まる可能性が示唆された。
また、ステッピングモーターを用いて頭部回旋による前庭刺激を与えたところ、若年者では自動運動では適応が十分になされ、他動的な刺激は外乱刺激となって姿勢の安定性を低下させていた。他方、高齢者では、自動運動が大きな内乱刺激となって姿勢の安定性を低下させることが明らかとなった。
以上のことから、薄暗い視覚環境下では視覚からの認知が低下するにもかかわらず、それに対応した制御がなされていないために、むしろ暗所や遮眼条件よりも不安定な姿勢となり得ることが定量的に明らかとなった。ここで得られた個体・環境要因を臨床評価指標に組み入れることで、転倒のリスクの把握や予防に益する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 照度変化が障害物回避時の歩行戦略に及ぼす影響2013

    • 著者名/発表者名
      堀真里南
    • 学会等名
      第48回日本理学療法学術大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      20130524-29130526
  • [学会発表] 頚部固定および予告の有無が振り向き動作時の姿勢制御に与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      杉浦友香里
    • 学会等名
      第48回日本理学療法学術大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      20130524-20130526
  • [学会発表] 軽度認知障害高齢者では選択的注意課題に対するステップ反応分析で転倒リスクが顕在化する2013

    • 著者名/発表者名
      上村一貴
    • 学会等名
      第48回日本理学療法学術大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      20130524-20130526
  • [図書] 姿勢調節障害の理学療法2013

    • 著者名/発表者名
      内山 靖
    • 総ページ数
      508
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社

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公開日: 2014-07-24  

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