研究概要 |
本研究では、ラクナ梗塞(LS)とアテローム性脳梗塞(AS)による軽症脳梗塞患者19例(年齢:67.5±6.2歳)を対象とし、脳血流量(CBF)と末梢の血管内皮機能(%FMTD)との関連を検討し(研究1)、次に、6か月間の運動・減塩などのライフスタイル介入効果によるCBF改善効果を13例(介入8例、対照6例)で比較検討した(研究2)。(症例研究デザイン) 【研究1】MRIのASL法によるCBF測定の再現性を確認した後、末梢血管内皮機能との関連を検討した。その結果、CBFと%FMTDには関連が認められなかった(%FMTD:r=-0.26, P=0.28)。病型別ではLSでASよりCBFが高い傾向を認めたが,%FMTDはASが高い傾向にあり、%FMTDに影響するスタチン服薬の影響を受けたものと思われた。また、副次的指標の中で、認知機能(TMT-A)、高強度活動時間、血清アルブミンはCBFと関連し(それぞれr=-0.61,P<0.01、r=0.63,P<0.01、r=0.48,P=0.04)、今後の検討課題となった。 【研究2】%FMTDは介入群では改善したが(3.8%→4.9%)有意ではなく、対照群でも同様であった(4.1%→5.0%)。CBFは介入による改善は認められなかったが(38.3±11.4 ml/100g/min→ 36.3±11.9 ml/100g/min, P=0.61)、CBF非介入群では低下する傾向を認め(45.7±14.2ml/100g/min→41.0±12.6 ml/100g/min, P=0.08)、ライフスタイル介入によるCBF低下予防効果が示唆された。 【まとめ】軽症脳梗塞のCBFと%FMTDはスタチンなど非服薬下にて関連性を再度検討すべきと思われた。またCBFに対するライフスタイル介入の目的は改善より低下予防であることが示唆された。
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