研究課題/領域番号 |
23650324
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
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研究分担者 |
石原 昭彦 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (90184548)
近藤 浩代 名古屋女子大学, 家政学部, 講師 (50333183)
村上 慎一郎 姫路獨協大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30454763)
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キーワード | 筋萎縮 / カヘキシー / 悪液質 / 炎症性サイトカイン / マイオカイン / 運動 |
研究概要 |
ガン等による悪液質は、細胞レベルにおける代謝異常を生じ、骨格筋では収縮タンパク質を減少させるため、筋断面積が縮小し、筋力や筋持久力の低下を引き起こし、廃用症候群をきたしやすい。この機序にはTNF-α等のサイトカインが関与しているが、異化反応、特にユビキチンプロテアソームの活動を惹起するリガンドとして作用する。そこで、本研究では、分子生物的手法により悪液質に伴う骨格筋の筋萎縮を捉え、TNF-α等のレギュレータとなる主要因子であるサイトカインや筋特異的なプロテアソーム系の発現について検証した。また、運動による悪液質に伴う筋萎縮の予防についても検証を行い、悪液質に対する運動を提案することを目的としている。悪液質では、TNF-αの増加が観察され、Atrogin-1の発現も増加した。一方、運動はTNF-αを抑制し、Atrogin-1の発現も低下させた。また、筋線維代謝は悪液質により低下をするが、運動により代謝の低下を予防できた。一方、運動によるIL-6の発現は観察されなかった。悪液質に対して高強度の運動は適していないと報告されているが、本研究で使用した中等度の運動は、IL-6等のマイオカインの発現は観察されなかったが、悪液質による炎症性サイトカインの増加に伴う筋萎縮を予防することができた。これらの結果からガンに伴う悪液質は、進行性の異化亢進にともなう全身性機能低下であり、運動は全身調整や全身性機能低下を予防するために推奨できるツールと考えられる。
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