研究課題
ラットを用いた実験を継続して実施した。光塞栓法により引き起こす皮質性梗塞巣に対する局所脳冷却の影響を急性期と亜急性期で確認した。急性期では梗塞巣周辺で起きるてんかん様放電を計測しながら、梗塞巣を15℃で冷却した。その結果、てんかん用の異常脳波の顕著な抑制を確認した。梗塞巣形成直後より5時間にわたる冷却によって冷却後の異常脳波は冷却前と比較して有意に低下していた。急性期の冷却実験後、5日間に渡って、運動機能を計測した。握力計を用いた実験では、非冷却群と比較して、冷却群では運動機能の維持と速やかな回復が観察された。以上のラットを用いた実験により、局所脳冷却の皮質梗塞モデルに対する有効性が確認された。ラット実験での有効性確認後、ネコ脳梗塞モデルに対する実験について検討した。ネコに対しては、光塞栓法による脳梗塞を形成する前に、冷却の長時間実施による、正常脳への影響を正確に把握するため、長期冷却実験を実施した。バイタル集中管理下において、皮質の局所冷却を48~72時間実施し、脳波の基礎律動、体性感覚誘発電位、脳血流の計測を実施した。局所冷却によって、誘発電位と脳血流は顕著な低下を示したが、復温後、十分な時間を置くことで、それぞれのレベルは冷却前と同程度まで回復を見せた。中大動物への適用に時間は掛かったが、最終的に、脳梗塞モデルに対する実施体制は確立した。
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Brain Research
巻: Vol.1497 ページ: 53-60
DOI:10.1016/j.brainres.2012.11.041
Epilepsia
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