• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

運動ニューロンの網羅的発現遺伝子解析によるリハビリテーション効率の定量化

研究課題

研究課題/領域番号 23650327
研究機関九州大学

研究代表者

岡田 誠司  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30448435)

キーワードリハビリテーション / レーザーマイクロダイセクション / トランスクリプトーム
研究概要

本研究では、げっ歯類中枢神経損傷モデルとギガシークエンサーを用いて、リハビリ前後での大脳皮質運動神経における分子発現の網羅的な解析を行ない、リハビリ効果の数値化や中枢神経可塑性に関わる因子の同定を目指す。中枢神経損傷モデルは頭部外傷または脊髄損傷モデルを作成し、運動ニューロンの選択的な採取は我々の開発した核ソーティング法を用いる予定であった。しかし、今年度からレーザーマイクロダイセクションのシステムを導入し、核ソーティングよりもレーザーマイクロダイセクションによる選択的な運動ニューロン採取の方が効率が良く、かつ網羅的なトランスクリプトーム解析に適していることが明らかとなった。さらに、採取した運動ニューロン選択的に発現遺伝子解析を行うことに成功しており、特に神経活動性のマーカーや神経栄養因子、軸索輸送蛋白関連因子、神経伝達物質受容体などの定量化が可能となった。これらの遺伝子発現が、実際の下肢運動機能やリハビリテーションとどのように相関するのかを明らかにする予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、運動ニューロンの細胞核をソーティングし、トランスクリプトーム解析を行う計画であったが、採取核のmRNAレベルを測定したところ、ハウスキーピングジーン量でも訳1/3程度しか残存していないことが明らかとなった。すなわち、核膜孔からのactive transportや漏出機構により核内のトランスクリプトーム解析では不十分なことが示唆された。そこで、我々はレーザーマイクロダイセクションを用いた運動ニューロンの選択的解析を試みた。その結果、運動ニューロンを選択的に回収し、なおかつ神経細胞の活動性の指標であるcfosやZIFといった発現遺伝子の定量化に成功した。Single cell PCRや次世代シークエンサーの上位機種との組み合わせにより、より実践的に運動ニューロンでのトランスクリプトーム解析が可能となった。げっ歯類を用いた下肢運動麻痺モデルの作成も順調であり、リハビリテーションが運動ニューロンの遺伝子発現に与える影響を具体的に解析できるものと考えている。

今後の研究の推進方策

運動ニューロンに於ける遺伝子発現が下肢の運動機能と相関しているかを解析するために、脊髄完全切断モデルと鎮静剤投与による長期運動制限モデルを作成し、脊髄レベルでの運動ニューロンの発現遺伝子を比較する。運動活動性とどのような遺伝子群が相関するのか、また下肢リハビリテーションを行うことで、単純に運動と連動する遺伝子群と、神経回路形成に関わる遺伝子群の区別を行う。トランスクリプトーム解析では、特に生存や神経栄養因子反応性などのgene ontologyカテゴリーのみならず、①neurotransmitter、②シナプス伝達に関するマシナリー分子、③軸索輸送関連蛋白分子、④細胞膜受容体分子、⑤シグナル伝達分子を中心に網羅的な発現解析を行い、その機能を定量化する。

次年度の研究費の使用計画

レーザーマイクロダイセクション用のプレパラート、Single cell PCRの試薬費用、次世代シークエンサー解析の試薬代の一部に充てる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Ly6C(+) Ly6G(-) Myeloid-derived suppressor cells play a critical role in the resolution of acute inflammation and the subsequent tissue repair process after spinal cord injury.2013

    • 著者名/発表者名
      Saiwai H
    • 雑誌名

      J Neurochem

      巻: 125 ページ: 74-88

    • DOI

      10.1111/jnc.12135

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Direct isolation and RNA-seq reveal environment-dependent properties of engrafted neural stem/progenitor cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Kumamaru H
    • 雑誌名

      Nat Commun

      巻: 3 ページ: 1140

    • DOI

      10.1038/ncomms2132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Liposomal clodronate selectively eliminates microglia from primary astrocyte cultures.2012

    • 著者名/発表者名
      Kumamaru H
    • 雑誌名

      J Neuroinflammation

      巻: 9 ページ: 116

    • DOI

      10.1186/1742-2094-9-116

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Age-related differences in cellular and molecular profiles of inflammatory responses after spinal cord injury.2012

    • 著者名/発表者名
      Kumamaru H
    • 雑誌名

      J Cell Physiol

      巻: 227 ページ: 1335-46

    • DOI

      10.1002/jcp.22845.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Myeloperoxidase exacerbates secondary injury by generating highly reactive oxygen species and mediating neutrophil recruitment in experimental spinal cord injury.2012

    • 著者名/発表者名
      Kubota K
    • 雑誌名

      Spine

      巻: 37 ページ: 1363-9

    • DOI

      10.1097/BRS.0b013e31824b9e77

  • [学会発表] 脊髄再生―細胞移植研究の現状2012

    • 著者名/発表者名
      岡田誠司
    • 学会等名
      第124回西日本整形・災害外科学会
    • 発表場所
      別府
    • 年月日
      20121117-20121118
    • 招待講演
  • [学会発表] 脊髄損傷後の自己修復メカニズム2012

    • 著者名/発表者名
      岡田誠司, 熊丸浩仁, 久保田健介, 小早川 和 , 中村雅也 , Renault-Mihara Francois, 岡野栄之, 岩本幸英
    • 学会等名
      第27回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20121026-27
  • [学会発表] 脊髄損傷研究に於けるMDSC(myeloid-derived suppressor cell)の生理的修復作用2012

    • 著者名/発表者名
      岡田誠司
    • 学会等名
      第27回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20121026-20121027

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi